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薬液注入工法とは何か:山留め補助・止水の現場確認ポイント

商業出版経験のある運営者が、公式資料・標準仕様書・過去問傾向を確認しながら、初学者向けに整理しています。

けんせつる

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薬液注入工法って何?地盤改良とは違うの?

この記事の要点

薬液注入工法は、地盤に注入管を挿入して薬液を圧送し、地盤を固結・止水する工法です。山留め工事の根入れ補強、掘削時の湧水・流砂防止、既存構造物の沈下防止といった場面で使われます。

地盤改良工法との最大の違いは「局所的・仮設的に使うケースが多い」点です。施工管理では注入圧・注入量の管理環境基準への対応が主なチェックポイントになります。

薬液注入工法は、目に見えない地盤の中で進む工事なので、施工管理上の記録と確認が特に重要な工法なんです。

まず用途と地盤改良との違いを整理してから、現場での確認ポイントを見ていきましょう。

薬液注入工法はなぜ必要なのか

掘削工事では、地盤の種類によって大きなリスクが生じます。

砂地盤では地下水が豊富なことが多く、山留め壁の根入れ部から湧水や流砂が発生すると、周辺地盤の沈下や山留め壁の崩壊につながるわけです。

薬液注入工法は、そのリスクを事前に抑えるために、地盤内に薬液を浸透・固結させて「止水・補強のゾーン」をつくる工法です。

主な用途は3つあります。

ザックリ言えば、「地盤の弱いところを一時的に固めて、掘削工事を安全に進めるための下処理」ということです。

地盤改良との違いはどこにあるのか

薬液注入工法と地盤改良は、どちらも「地盤を強くする工法」ですが、目的と使い方が根本的に違います。

項目薬液注入工法地盤改良(深層混合処理等)
目的局所的な止水・補強(仮設的)構造物の基礎地盤の恒久的改善
改良範囲注入管周囲の局所ゾーン設計された広範囲の改良体
主な使用場面山留め補助・掘削中の止水建物基礎の支持力確保
効果の継続性水ガラス系は経年で強度低下する場合がある恒久的な改良体として設計

例えば、都市部の地下工事で山留めを設置する場合、山留め壁の根入れ部が砂地盤だと湧水・流砂リスクがあります。

この場合、工事期間中だけ地盤を固めておけばよいため、恒久的な地盤改良ではなく仮設補助としての薬液注入を選ぶわけです。

ただし、近接構造物の沈下防止目的で使う場合は、本設工事に準じた扱いになることもありますね。設計図書で用途と目標品質を必ず確認します。

使われる薬液はどう決まるのか

薬液注入工法で使用する薬液については、建設省通達(昭和49年)によって水ガラス系(シリカゾル)を原則とすることが定められています。

かつて使われたアクリルアミド系などの薬液が地下水や農作物に影響を与えた事故を受けて制定された規定です。

水ガラス系薬液の特徴は次の通りです。

ザックリ言えば、「砂地盤には効く、粘土には効きにくい、かつ環境に優しいものを使う」というのが基本方針です。

施工管理では何を確認すればよいのか

薬液注入工法は地盤の中で進む工事なので、施工前・施工中・完了後の3段階に分けた確認が特に重要です。

施工前の確認

施工中の管理

完了後の確認

例えば、注入中に注入量が突然急増した場合、地盤に亀裂が入って薬液が逸走している可能性があります。

注入量と注入圧を同時に見て、異常の兆候を早めに捉えることが現場管理の鍵です。

管理人からのコメント

薬液注入工法で施工管理上よく起きるのが、「環境基準の書類対応が後手になる」問題です。近隣に井戸や湧水がある場合、着工前から水質モニタリングを始めておかないと、施工後に苦情が出たときに基準値との比較ができません。

もう一つ多いのが「薬液注入=地盤改良」という混同で、完了検査で出来形の確認方法が曖昧になるケースです。

薬液注入の出来形管理の核は「注入実績(圧・量・範囲)の記録」にあります。地盤改良の改良体とは確認の仕方が根本的に違うわけです。

混同しやすい用語の整理

薬液注入工法 vs 深層混合処理工法

薬液注入工法は注入管から液状の薬液を地盤に圧送・浸透させて固結・止水する工法。主に仮設補助・局所的止水に使う。

深層混合処理工法(CDM工法など)はセメントミルクを地盤に混合撹拌して改良体をつくる恒久的な地盤改良工法。支持力確保や山留め壁体そのものに使う。

どちらも「地盤に何かを注入・混合する」工法ですが、目的と改良後の扱いが根本的に違います。

ボイリング vs ヒービング

ボイリングは砂地盤の掘削底面で地下水が上昇し砂が流動する現象。薬液注入工法はボイリング防止に有効。

ヒービングは粘性土地盤の掘削底面が膨れ上がる現象。薬液注入は粘性土に効きにくいため、ヒービング対策には別途の方法が必要です。

一問一答

Q.

薬液注入工法で原則使用する薬液の種類は何か?

水ガラス系(シリカゾル)。建設省通達(昭和49年)により、環境への影響が小さい水ガラス系を原則とすることが定められている。

Q.

薬液注入工法が効きにくい地盤はどれか?

粘性土(シルト・粘土)。間隙が小さく薬液が浸透しにくいため、止水・固結効果が得られにくい。主な適用対象は砂質土。

Q.

施工中に注入圧が設計値の上限を超えた場合、どう対応するか?

注入を一時停止し、原因(注入孔の閉塞・地盤の状況変化など)を調査する。地表噴出が起きている場合はただちに注入を停止して監督員に報告する。

Q.

薬液注入工法の完了後、改良強度はどうやって確認するか?

改良ゾーンからコアを採取して一軸圧縮試験を行い、目標強度を満足しているか確認する。止水目的の場合は透水試験で透水係数も確認する。

Q.

地盤改良工法と薬液注入工法の主な違いは何か?

地盤改良(深層混合処理など)は恒久的な支持力確保を目的とした広範囲の改良。薬液注入は仮設的・局所的な止水・補強が主な目的で、掘削工事中の補助工法として使われることが多い。

まとめ

RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。

地盤改良工法の種類と施工管理を確認する

根切り・掘削工事の施工管理ポイントを確認する

参考資料

・建設省通達「建設工事における薬液注入工法の施工基準について」(昭和49年)

・地盤工学会「薬液注入工法設計・施工マニュアル」

・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版」

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けんせつる

建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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