地盤改良工事の施工管理とは?表層改良・柱状改良・薬液注入の確認ポイント
けんせつる
地盤改良工事の施工管理って何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
地盤改良とは、軟弱な地盤にセメント系固化材・石灰・薬液などを注入・混合して地耐力を高める工法です。工法の選択は地盤調査の結果(N値・土質)をもとに設計で決まります。
施工管理では改良深度の確認・固化材の添加量・サンプリング(品質試験体)の採取・養生後の強度確認がポイントになります。
地盤改良は地中に埋まってしまう工事です。
施工後に品質を外から確認する手段が限られるため、施工中の記録・サンプリング試験が後から品質を証明する唯一の手段です。
主な地盤改良工法はどう違うか
| 工法 | 概要 | 適用深度の目安 |
| 表層改良 | 地表から浅い範囲の土にセメント系固化材を混合して改良する | 深度2m程度まで |
| 柱状改良(深層混合処理) | 専用機械でセメントスラリーを注入しながら地盤を攪拌し、柱状の改良体を造る | 深度2~8m程度 |
| 薬液注入 | 地盤の空隙に薬液(水ガラス系等)を注入して固結させる | 施工条件による(山留め補助・止水目的が多い) |
ザックリ言えば、「浅い軟弱地盤なら表層改良・もう少し深ければ柱状改良・山留め補助・止水には薬液注入」という使い分けなということです。
地盤改良の設計根拠となる地盤調査の方法(ボーリング・標準貫入試験・平板載荷試験等10種類)は、国土交通省告示第111号(下図)の第一に規定されています。
出所:国土交通省「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための方法等を定める件(昭和46年建設省告示第111号)」p.1 第一:地盤調査の方法(ボーリング調査・標準貫入試験・平板載荷試験等10種類を規定)―地盤改良の設計根拠となる地盤調査方法の法的位置づけ
各工法の施工管理ポイントは何か
表層改良の確認ポイント
- 掘削深度の確認:設計改良深度まで掘削・攪拌しているか確認します。深さが足りないと改良効果が出ないことになります。
- 固化材の添加量:設計で定められた固化材(セメント系)の添加量(kg/m3)が守られているか確認します。添加量が少ないと強度不足になるです。
- 攪拌の均一性:固化材が土全体に均一に混合されているか目視・試料採取で確認します。まだら混合は強度のバラつきにつながります。
- サンプリング:施工中にサンプル試料を採取して養生後に一軸圧縮試験を行い、設計基準強度以上あるか確認します。
柱状改良の確認ポイント
- 改良深度の確認:ロッドの長さや施工機の管理システムで、設計支持層まで到達したか確認することになります。
- セメントスラリーの配合確認:水セメント比・スラリー量が設計通りか確認します。スラリーが薄すぎると改良体が弱くなるです。
- 改良体のピッチ・配置:改良体(柱)の位置・間隔が設計図通りになっているか確認します。
- サンプリング・強度確認:施工中に採取した試料の養生後の一軸圧縮強度が設計値(一般的に200~300kN/m2以上)を満たすか確認します。
- 施工記録の作成:改良体ごとに施工日時・深度・スラリー量・電流値(攪拌抵抗の指標)を記録します。
薬液注入の確認ポイント
- 注入量・注入圧力の管理:設計注入量に対して実際の注入量が達しているか、注入圧力が過大になっていないか確認することになります。注入圧力が過大だと地盤隆起・周辺地盤への影響が出ます。
- 注入範囲の確認:薬液が設計範囲内に届いているか確認します。改良範囲外への流出がないか監視するです。
- 地盤の変位監視:注入中に周辺地盤・構造物に沈下・変位が生じていないか計測します。
- 環境への影響確認:薬液の種類によっては地下水汚染のリスクがあるため、使用薬液の環境安全性を確認します。
セメント系固化材で改良された地盤の許容支持力(長期:Fc=F/3)は、国土交通省告示第111号(下図)の第五に規定されています。
出所:国土交通省「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための方法等を定める件(昭和46年建設省告示第111号)」p.9 第五:セメント系固化材を用いて改良された地盤の許容支持力(長期 Fc=F/3、F=設計基準強度)
混同しやすい用語の整理
表層改良 vs 柱状改良
表層改良は地表から均一に浅い範囲を改良します。建物の基礎全体にわたって改良する面的な工法なことになります。
柱状改良は柱状の改良体を一定間隔で造り、改良体が支持層まで到達することで荷重を伝える工法です。適用できる深度と改良の方法が異なります。
地盤改良 vs 杭工事
地盤改良は軟弱地盤を固化材で補強する工法で、改良した地盤に直接基礎を設ける場合が多いです。杭工事は深い支持層まで杭を打ち込んで建物荷重を伝える工法です。
地盤の状態・改良が必要な深さ・建物規模によってどちらを採用するのか設計で決まります。
一問一答
一軸圧縮試験(サンプリングした改良体試料を養生後に圧縮して強度を確認する)。設計で定めた基準強度以上あるか判定する。
改良体ごとの施工日時・改良深度・セメントスラリー量・電流値(攪拌抵抗)。地中に埋まった後は確認できないため施工中の記録が品質証明になる。
地盤隆起・周辺地盤や構造物への悪影響が生じる。注入圧力の上限は設計で定められており、超えた場合は注入を一時停止して確認する。
まとめ
- 表層改良(深度2m程度)・柱状改良(深度2~8m)・薬液注入(止水・補助)を地盤調査結果で使い分ける。
- 固化材の添加量・改良深度・攪拌均一性を施工中に確認・記録する。
- サンプリングした試料の一軸圧縮試験で設計強度以上あることを確認する。
- 薬液注入では注入量・注入圧力・周辺地盤の変位を監視しながら施工する。軟弱地盤での施工は特に注意が必要。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 地盤調査とN値の確認ポイントを確認する
> 杭工事の施工管理ポイントを確認する
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参考法令・規格
- 建築基準法施行令 第38条(基礎の構造)
- 建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針(国土交通省)
- JIS A 1219 土の標準貫入試験方法
※ この記事の法令確認日:2026年5月
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けんせつる
建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。
管理人からのコメント
地盤改良工事は施工前の地盤調査結果と改良後の品質確認(一軸圧縮試験・貫入試験)が一対です。薬液注入は注入量・ゲルタイムを記録し、改良範囲を確実にカバーしているか確認してください。
改良体の深度・径・位置は施工記録写真と一致させてください。