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JISのドアセットの性能項目とは?スイングとスライディングで規定が違う

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けんせつる

けんせつる

ドアセットの性能項目って、開き戸と引戸で何が違うの?

「ねじり強さ」なんて、どっちにもありそうだけど……

この記事の要点

ねじり強さ・鉛直荷重強さは、開き戸(スイング)だけの性能項目です。引戸(スライディング)には規定されません。

根拠はJIS A 4702の表1で、これらの項目には「スライディングには適用しない」という注が付いています。

外部建具の気密性・水密性の等級の読み方は外部建具の気密性・水密性にまとめています。

ドアセットとは、あらかじめ枠と戸とが製作・調整されていて、現場取付けに際して一つの構成材として扱うことができるものです。

枠と戸がセットで届くので、現場では組み立てずに取り付けられます。この形で品質を保証するために、JIS A 4702が性能項目を決めています。

そのJISは、開閉形式を2つに分けています。ここが試験の出発点です。

  • スイング……主に枠の面外に戸が移動する開閉形式(=開き戸)
  • スライディング……主に枠の面内を戸が移動する開閉形式(=引戸)
ドアセットの平面模式図。スイング(開き戸)は戸が枠の面外へ回転して出るためねじり強さ・鉛直荷重強さが規定される。スライディング(引戸)は戸が枠の面内を横に滑るため、これらは適用しない。
平面で見ると違いは明快で、開き戸は枠の面から外へ出て、引戸は枠の面内を滑る。この動き方の違いが、規定される性能項目の違いになる。※関係をつかむための模式図で、枠や戸の寸法・納まりを描いたものではない。
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性能項目は「必須」と「等級で選ぶもの」に分かれる

JIS A 4702の性能は、表1に一覧で並んでいます。読み方は2段構えです。

まず、ねじり強さ・鉛直荷重強さ・開閉力・開閉繰返し・耐衝撃性は必須の性能項目です。用途に関係なく適用します。

次に、耐風圧性・気密性・水密性・遮音性・断熱性・面内変形追随性は、用途に応じて必要な等級を適用します。こちらは等級で区分される性能です。

必須側の試験条件は数値で決まっています。

性能項目 試験条件 試験方法
ねじり強さ 載荷荷重200N JIS A 1523(ドアセットのねじり強さ試験方法)
鉛直荷重強さ 載荷荷重500N JIS A 1524(ドアセットの鉛直載荷試験方法)。残留変位3mm以下
開閉力 載荷荷重50N JIS A 1519(建具の開閉力試験方法)
開閉繰返し 開閉回数10万回 JIS A 1530(建具の開閉繰返し試験方法)
耐衝撃性 砂袋落下高さ170mm JIS A 1518(ドアセットの砂袋による耐衝撃性試験方法)

数字そのものより、どの項目がどちらの戸に付くかが問われます。次が本題です。

引戸に適用しない4項目

表1をよく見ると、いくつかの性能項目に注が付いています。

その注の中身が「スライディングには適用しない。」です。つまり、注が付いた項目は開き戸だけのものになります。

性能項目 スイング
(開き戸)
スライディング
(引戸)
ねじり強さ 適用する 適用しない
鉛直荷重強さ 適用する 適用しない
耐衝撃性 適用する 適用しない
面内変形追随性 適用する 適用しない
開閉力・開閉繰返し 適用する 適用する
耐風圧性・気密性・水密性・遮音性・断熱性 適用する 適用する

覚えるのは上の4つだけです。遮音性や耐風圧性は引戸にも規定されますので、「引戸だから性能が少ない」という覚え方をすると外します。

なお耐衝撃性には、もう1つ「戸の面積の50%以上をガラスが占めるものには適用しない」という注も付いています。ガラス工事が主役になる戸は、砂袋を落とす試験になじまないためです。

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なぜ引戸には適用しないのか

戸の動き方が違うからです。JISの定義に戻ると分かります。

開き戸は枠の面外に戸が移動します。閉じているときは枠の中にありますが、開くと枠の面から外へ出て、そこで戸を支えなければなりません。

引戸は枠の面内を戸が移動します。開いても閉じても、戸は枠の面から出ません。

この違いは試験方法の名前にも表れています。面内変形追随性の試験規格はJIS A 1521「片開きドアセットの面内変形追随性試験方法」で、名前からして片開き(開き戸)用です。

ねじり強さ・鉛直荷重強さも、開き戸の動き方を前提にした試験なので、引戸には適用されません。

施工管理で何を確認するか

  • 戸の形式と性能項目が対応しているか:引戸に対して、ねじり強さや鉛直荷重強さの試験成績書を求めていないか。JISの適用外なので、そもそも出てきません。
  • 等級の指定:耐風圧性・気密性・水密性・遮音性・断熱性は等級で指定します。設計図書の指定と、納入される製品の等級が一致しているかを照合します(外部建具の気密性・水密性)。
  • 試験成績書の確認:材料受入時に、指定した等級を満たす成績書があるかを確認します。
  • 枠の取付け精度:ドアセットは枠と戸が調整済みで届くため、枠の取付けが狂うと開閉に響きます。鋼製建具の枠の納まりは鋼製建具にまとめています。

混同しやすい用語の整理

JIS A 4702 と JIS A 4706

どちらも建具のJISですが、対象が違います。

JIS A 4702はドアセットです。開き戸・引戸のドアを対象に、ねじり強さや鉛直荷重強さを含む性能項目を定めています。

JIS A 4706はサッシです。窓を対象に、耐風圧性・気密性・水密性などの等級を定めています。外部建具の気密性・水密性で扱っているのはこちらが中心です。

鉛直荷重強さ と 耐風圧性

どちらも荷重に対する強さですが、力のかかる向きが違います。

鉛直荷重強さは上下方向で、載荷荷重500Nをかけて残留変位3mm以下を見ます。開き戸だけの項目です。

耐風圧性は面に垂直な風圧で、S-1(800Pa)からS-7(3600Pa)の等級で区分します。引戸にも適用します。

過去問でどう問われたか

ドアセットの性能項目は、平成29年度から令和6年度まで、1級の第一次検定で4回問われています。引っかけは1つのパターンだけです。

  • 開き戸だけの項目を引戸に当てはめる……「スライディングドアセットでは、ねじり強さ(または鉛直荷重強さ)が規定されている」と書かせる。4回とも、これが誤りの肢でした。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 平成29年 No.13 スライディングドアセットにねじり強さが規定されているとした → 適用しない ←①
1級 令和元年 No.13 スライディングドアセットに鉛直荷重強さが規定されているとした → 適用しない ←①
1級 令和3年 No.13 スライディングドアセットに鉛直荷重強さが規定されているとした → 適用しない ←①
1級 令和6年 No.15 スライディングドアセットにねじり強さが規定されているとした → 適用しない ←①

正しい肢として出たのは、スイングの気密性・開閉力・耐衝撃性・日射熱取得性、スライディングの開閉力・遮音性・耐風圧性でした。どれも表1で適用される項目です。

つまり引戸に「ねじり強さ」「鉛直荷重強さ」と書いてあったら、それが誤りの肢です。この2語だけで4年分とも消せます。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

スライディングドアセットに、ねじり強さは規定されるか。

規定されません。JIS A 4702の表1で、ねじり強さには「スライディングには適用しない」という注が付いています。開き戸(スイング)だけの項目です。

Q.

開き戸だけに適用される性能項目を4つ挙げよ。

ねじり強さ・鉛直荷重強さ・耐衝撃性・面内変形追随性です。いずれも表1で「スライディングには適用しない」とされています。

Q.

遮音性は引戸にも規定されるか。

規定されます。遮音性・耐風圧性・気密性・水密性・断熱性は等級で区分する性能で、開き戸・引戸のどちらにも適用します。「引戸は項目が少ない」と覚えると外します。

Q.

JISはスイングとスライディングをどう定義しているか。

スイングは主に枠の面外に戸が移動する開閉形式、スライディングは主に枠の面内を戸が移動する開閉形式です。この動き方の違いが、性能項目の違いにつながります。

まとめ

  • ドアセット=枠と戸が製作・調整済みで、現場で一つの構成材として扱えるもの(JIS A 4702)。
  • ねじり強さ・鉛直荷重強さ・耐衝撃性・面内変形追随性は「スライディングには適用しない」=開き戸だけの項目。
  • 開閉力・開閉繰返し・耐風圧性・気密性・水密性・遮音性・断熱性は、開き戸・引戸のどちらにも適用する。
  • スイング=枠の面外に戸が移動、スライディング=枠の面内を戸が移動。この違いが規定の違いになる。
  • 試験の引っかけは「引戸にねじり強さ・鉛直荷重強さ」の1パターンだけ。

> 気密性・水密性の等級の読み方は外部建具の気密性・水密性を確認する
> 建具の種類と金物は建具工事を確認する
> 枠の取付けは鋼製建具を確認する

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参考資料

  • JIS A 4702(ドアセット)日本産業規格:3.1 ドアセット・3.4 スイング・3.5 スライディングの定義、4 等級、5 性能、表1−性能(試験条件・判定基準・注a「スライディングには適用しない。」注b「戸の面積の50 %以上をガラスが占めるものには,適用しない。」)※表1の内容は2015年版で確認。日射熱取得性は2021年改正で性能に加えられた項目。
  • JIS A 1523(ドアセットのねじり強さ試験方法)/JIS A 1524(ドアセットの鉛直載荷試験方法)/JIS A 1518(ドアセットの砂袋による耐衝撃性試験方法)/JIS A 1519(建具の開閉力試験方法)/JIS A 1530(建具の開閉繰返し試験方法)/JIS A 1521(片開きドアセットの面内変形追随性試験方法)
  • JIS A 4706(アルミニウム合金製建具)日本産業規格
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(ドアセットの性能項目の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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