けんせつる
溶接を先にやれば、ボルトと溶接の耐力を足してよかったんだっけ。
この記事の要点
令和5年度(前期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.6は、鉄骨構造の接合に関する問題です。正解は選択肢3。
令和5年度(前期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.6は、鉄骨構造の接合に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 高力ボルト摩擦面は一定値以上のすべり係数を確保する |
| 2 | ○(正しい) | 完全溶込み溶接継目の有効長さは接合材の全幅とする |
| 3 | ×(誤り) | 溶接を先に行う場合は両方の許容耐力を加算できない |
| 4 | ○(正しい) | 隅肉溶接継目の許容応力度は母材の許容せん断応力度と同じ |
選択肢3は、溶接を先に行う場合に「両方の許容耐力を加算してよい」としている点が誤りで、加算してよいのは高力ボルトを先に締めた場合だけです。
この問題では、鉄骨の接合方法と耐力の考え方が問われています。
特に溶接と高力ボルトを併用したときの順番は、つまずきやすいところですね。
溶接と高力ボルトを同じ継手に併用するとき、力をどう分け合うかは施工の順番で変わります。
かたい接合ほど先に力を受け止めるんです。溶接はボルトより硬いので、溶接を先につくると溶接側に力が集中し、後から締めたボルトは働く前に溶接が壊れてしまうわけです。
選択肢1は高力ボルト接合の摩擦面についての記述です。
高力ボルト接合は、板どうしを強く締め付けて生じる摩擦で力を伝えます。そのため摩擦面はショットブラスト処理などで一定値以上のすべり係数を確保します。
表面がツルツルだと滑ってしまうので、適度に粗くするわけですね。記述のとおりなので適当です。
選択肢2は完全溶込み溶接についての記述です。
完全溶込み溶接は、接合する材の厚み全体を溶かしてつなぐ溶接です。その有効長さは、接合される材の全幅とします。
端から端まで完全につながるので、全幅が有効に働くわけです。記述のとおりなので適当ですね。
これが誤りを含む選択肢です。「溶接を先に行う場合は、両方の許容耐力を加算してよい」とありますが、ここが誤りなんです。
両方の許容耐力を加算してよいのは、高力ボルトを先に締めた場合だけです。
溶接を先に行うと、硬い溶接側に力が集まってしまい、後から締めた高力ボルトは十分に働けません。よって溶接を先にした場合は加算できず、溶接の耐力だけで設計します。順番の条件が逆になっているため、選択肢3は不適当ということです。
選択肢4は隅肉溶接についての記述です。
隅肉溶接継目の許容応力度は、母材の許容せん断応力度と同じ値とします。
隅肉溶接はのど断面でせん断的に力を受けるので、せん断の値を基準にするわけです。記述のとおりなので適当です。
併用継手の耐力加算は、「どちらを先に施工したか」で判断すると間違えにくくなります。
硬い溶接が先なら加算できず、高力ボルトが先なら両方の耐力を加算できます。
ボルトが先なら加算OK、溶接が先なら加算NGとセットで覚えると、選択肢3のような順番のひっかけに引っかからなくなるでしょう。
溶接と高力ボルトを併用する継手で、両方の許容耐力を加算できるのはどちらを先に施工した場合か。
高力ボルトを先に締めた場合です。溶接を先に行った場合は加算できません。
完全溶込み溶接継目の有効長さはどのようにとるか。
接合される材の全幅とします。厚み全体を溶かしてつなぐためです。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢3
溶接と高力ボルトを併用する継手では、高力ボルトを先に締めた場合だけ両方の耐力を加算できるんです。溶接を先に行うと溶接側に力が集まり、後からのボルトが効きません。先にやったほうが力を持っていく、と押さえておきましょう。