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けんせつる
保護具着用管理責任者って何?誰が選任するの?うちの現場にも必要?
この記事の要点
保護具着用管理責任者とは、化学物質のリスクアセスメントに基づいて労働者に保護具を使用させる事業場に選任が義務付けられた管理者です。2024年4月1日から選任義務が施行され、根拠は労働安全衛生規則第12条の6です。
選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。選任者の氏名は当該事業場の見やすい箇所への掲示が必要です。選任できるのは、所定の資格保有者または保護具着用管理責任者教育(6時間)の修了者です。
2022年の労働安全衛生法改正により、化学物質の管理は従来の「規制による管理」から「事業者自身によるリスクアセスメントに基づく自律的管理」へ転換されました。
この流れの中で、化学物質管理者と並んで新設されたのが保護具着用管理責任者です。
塗料・防水材・接着剤・有機溶剤などを使う建設現場では、この役割が誰かに割り当てられているかを確認する必要があります。
保護具着用管理責任者とは、保護具の選択・使用・管理を専門に担うために、2024年4月から選任が義務化された管理者です。
まず、どんなときに選任が必要で、何をするのかを図でつかんでおきましょう。
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従来の化学物質管理は、法令が個別に定める規制物質ごとに管理方法を義務付ける方式でした。
しかし市場に流通する化学物質は数万種類に上り、規制されていない物質が職業性がんや健康障害を引き起こす事例が後を絶ちませんでした。
そこで厚生労働省は、すべての事業者がGHS分類されたSDS(安全データシート)をもとに自らリスクアセスメントを実施し、必要な保護措置を取るという「自律的管理」の仕組みに転換しました。
言い換えると、「規制されているから管理する」から「リスクを自分で評価して管理する」に変わりました。
このとき、保護具の選択・使用・管理を専門に担う役割として設けられたのが保護具着用管理責任者です。
選任が必要な状況は、大きく2つに分けられます(安衛則第12条の6)。
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| リスクアセスメント対象物を使用する場合 | リスクアセスメント対象物(SDSの交付が義務付けられた物質)を製造・取り扱う事業場で、リスクアセスメントの結果に基づき呼吸用保護具等を使用させることになったとき |
| 作業環境測定が第三管理区分の場合 | 作業環境測定の結果が第三管理区分(管理濃度を超えている状態)となり、呼吸用保護具を使用することとなったとき |
建設現場でとくに関係するのは前者です。
例えば、塗装工事での溶剤系塗料・防水工事でのウレタン塗膜材・有機溶剤を含む接着剤・鉛を含む旧塗膜の除去作業などが対象になります。
SDSが発行されている化学物質を使う作業がある現場では、「保護具を使わせているかどうか」を確認することが出発点ですね。
作業環境測定が第3管理区分となった場合の保護具着用管理責任者の選任義務は、厚生労働省資料(下図)に示されています。
保護具に関する知識および経験を有すると認められる者のうちから選任しなければなりません。
具体的には、以下のいずれかに該当する者です。
| 区分 | 該当する者 |
|---|---|
| 資格保有者 | 第1種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許の保有者 |
| 資格保有者 | 労働衛生コンサルタント(保健衛生区分)の試験合格者 |
| 技能講習修了者 | 有機溶剤作業主任者技能講習・特定化学物質等作業主任者技能講習・鉛作業主任者技能講習等の修了者(取り扱う物質が対象の場合) |
| 教育修了者 | 保護具着用管理責任者教育(6時間)を修了した者 |
建設現場の施工管理者が新たに選任される場合、最も現実的なルートは保護具着用管理責任者教育(6時間)の受講です。
言い換えると、「有機溶剤作業主任者などを持っていれば即対応可、なければ6時間の教育を受ければ選任できる」ということです。
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保護具着用管理責任者の職務は3つです。
「選ぶ・使わせる・管理する」の3点セットと覚えておくとよいです。
資格保有者でない場合は保護具着用管理責任者教育の修了が必要です。
厚生労働省が示すカリキュラムの概要は以下のとおりです。
| 科目 | 区分 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 化学物質等の危険性・有害性および表示等 | 学科 | GHS分類・SDSの読み方・リスクアセスメントの基本 |
| 保護具の種類・性能・使用方法 | 学科 | 防毒マスク・呼吸用保護具・保護手袋・保護めがねの種類と選び方 |
| 保護具の管理 | 学科 | 点検方法・保管方法・廃棄基準 |
| 労働安全衛生法令 | 学科 | 根拠条文・選任義務・職務・罰則 |
| 保護具の使用方法(実技) | 実技 | 防毒マスクの装着・フィットチェック・密着性確認 |
学科5時間+実技1時間の計6時間の講習で、1日で修了できる内容です。
民間の登録教習機関で開催されており、オンライン(eラーニング)で学科部分を受講できる機関もあります。
混同しやすい用語の整理
化学物質管理者:リスクアセスメントの実施・記録・更新・ラベル表示・SDS交付の管理を担当。リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場で必ず選任が必要。
保護具着用管理責任者:リスクアセスメントの結果として保護具を使わせることになった場合に追加で選任が必要。保護具の選択・使用・管理に特化した役割。
→ 化学物質管理者は「全事業場に必要」、保護具着用管理責任者は「保護具を使う必要が生じた場合に追加で必要」という関係です。1人が両方を兼務することもできます。
作業主任者:特定の危険・有害作業を行う際に、技能講習修了者の中から選任が必要な指揮・監督者。作業の指揮・設備の点検・安全措置の確認が職務。
保護具着用管理責任者:保護具の適正な管理に特化した役割。作業主任者の選任が別途必要な作業(有機溶剤・特化物等)では、作業主任者と保護具着用管理責任者の両方が必要になる場合があります。
選任すべき事由が発生してから何日以内に選任しなければならないか。
14日以内。
保護具着用管理責任者教育の合計時間は何時間か。
6時間(学科+実技)。
選任義務を怠った場合の罰則は何か。
労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金。
化学物質管理者と保護具着用管理責任者は1人が兼務できるか。
できる。ただし両者の職務は別物であり、それぞれの職務を理解したうえで兼務する必要がある。
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参考資料
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第12条の6
・厚生労働省 職場のあんぜんサイト「保護具着用管理責任者」
・化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(厚生労働省)
※ この記事の法令確認日:2026年6月
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建設現場でよくあるのは「防毒マスクは支給しているが、規格に合ったカートリッジかどうかを誰も確認していない」というケースです。
有機ガス用と防じん用を混同して使っていたり、有効期限切れのカートリッジをそのまま使い続けていたりするのが現場の実態です。保護具着用管理責任者はこういった「形式だけの保護」を防ぐためにいる存在です。