けんせつる
杭工事の種類が多くてどう整理すればいいの?施工管理では何を見ればいい?
この記事の要点
杭工事の目的は、建物の荷重を支持層(固い地盤)まで伝えることです。杭は大きく既製杭(工場で製造した杭を打つ)と場所打ち杭(現場で掘削してコンクリートを打つ)に分けられます。
施工管理の最大のポイントは支持層に確実に到達しているかの確認です。それに加えて、杭頭の位置・高さ確認と施工記録の保管も行います。
杭工事は地上からは見えない地下で行われる工事です。できあがってしまうと確認できないため、施工中の記録管理が特に重要になります。
種類が多く混乱しやすい工事ですが、「既製か場所打ちか」「支持層に届いているかどうか」の2点を軸に整理すると全体像が見えてきます。
建物の荷重を地盤に伝えるとき、表層の地盤が軟弱な場合は上部の土では支えられません。そのため、固い地盤(支持層)まで杭を到達させて荷重を伝えます。
| 種類 | 概要 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 支持杭 | 杭先端を支持層(固い地盤)に到達させ、先端抵抗力で荷重を支える | 支持層が比較的浅い場合に有効 |
| 摩擦杭 | 杭と周辺地盤の摩擦力(周面摩擦力)で荷重を支える | 支持層が非常に深く、摩擦力に頼る方が合理的な場合 |
一般的な建築工事では支持杭が採用されることが多く、支持層への到達確認が施工管理の核心になります。「支持層に届いているかどうか」がすべての起点ですね。
既製杭とは、工場で製造した杭(コンクリート製・鋼管製など)を現場に搬入して地盤に設置する工法です。
油圧ハンマーで杭を地盤に打ち込む工法です。支持層に到達すると貫入量が急激に減少します(1打あたりの貫入量が小さくなる)。
騒音・振動が大きいため、市街地では近隣への影響に注意が必要です。
あらかじめ地盤を掘削した孔に杭を挿入し、根固め材(セメントミルク等)で固める工法です。打込み工法に比べ騒音・振動が少なく、市街地の工事で広く使われます。
例えば、ボーリング柱状図では支持層が GL-15m とされていても、実際に打ち込んでいくと GL-13m あたりで急に手応えが変わることがあります。こうした「設計と現場のずれ」が生じた場合は、必ず設計者・監理者に報告して判断を仰ぎます。
ちなみに、打込み工法でハンマーを使って杭を打つとき、支持層に到達した瞬間に杭が跳ね返るように動きます。これがリバウンドで、支持層確認の重要な目安のひとつです。
現場でよく使われる表現なので覚えておくと役立ちます。
場所打ち杭は「現場で孔を掘って、鉄筋かごを入れてコンクリートを打つ」工法です。ザックリ言えば、現場で杭を作るイメージです。
| 工法 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| アースドリル工法 | 回転バケットで掘削し、孔壁を安定液(ベントナイト泥水等)で保護する | 施工速度が速い。市街地での採用が多い |
| オールケーシング工法 | 鋼管ケーシングを圧入しながら掘削する(孔壁全面保護) | 孔壁崩壊リスクが低い。騒音・振動は比較的大きい |
| リバース工法 | 水を循環させながら掘削し、スライムを水とともに吸い上げる | 大径・深度が大きい杭に対応できる |
掘削 → 孔壁保護(安定液・ケーシング)→ スライム処理 → 鉄筋かご挿入 → コンクリート打設(トレミー管使用)の順で進みます。この流れは試験でもよく問われますね。
特にスライム処理の位置を覚えておきましょう。
アースドリル工法・オールケーシング工法・リバース工法等の場所打ちコンクリート杭地業の規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の4.5節に示されています。
杭工事全般を通じて、施工管理者が確認すべき項目を整理します。どの工法でも共通する核心は「支持層到達の記録と証明」ですね。
混同しやすい用語の整理
支持杭は杭の先端が固い支持層に到達し、先端抵抗力で荷重を支える杭。摩擦杭は杭と周辺地盤の摩擦力(周面摩擦力)で荷重を支える杭です。
どちらも荷重を地盤に伝えるという目的は同じですが、支持メカニズムが違います。
打込み工法はハンマーで杭を直接打ち込む。埋込み工法はあらかじめ掘削した孔に杭を挿入して根固めする。
埋込み工法は騒音・振動が少ない反面、支持層到達の確認が掘削時の電流値などの間接的な指標になる点に注意です。
場所打ちコンクリート杭で使用するコンクリートの設計基準強度・スランプ等の規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の表4.5.1に示されています。
場所打ち杭でコンクリート打設前に孔底の泥・砂を除去する作業を何というか?
スライム処理。スライムが残ると杭先端の支持力が低下するため、コンクリート打設直前に完了させる必要がある。
場所打ち杭で水中・泥水中にコンクリートを打設するときに使用する管を何というか?
トレミー管。コンクリートが水・泥水と混ざって品質低下しないよう、管を通して下から充填していく。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 根切りと掘削の施工管理ポイントは?を確認する
> 鉄筋工事の施工管理確認ポイントは?を確認する
> 場所打ちコンクリート杭の施工管理を確認する
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
施工管理のポイント
杭工事の施工記録は「後から確認できない」という性質上、打設当日のうちに全杭分の記録を整えておくことが鉄則です。
記録が曖昧なまま工事が進むと、後になってから品質を証明する手段がなくなります。完成後に掘り返して確認することはできないため、記録を正確に残すことが施工管理者の最重要業務のひとつです。