けんせつる
試験杭って何のためにやるの?施工管理では何を確認すればいいの?
この記事の要点
試験杭は、本杭工事の前に実際の施工条件で1本(または数本)の杭を試験的に施工し、支持層の確認・施工方法の妥当性を確認する工程です。試験杭の結果が本杭工事の施工基準となります。
施工管理では関係者(発注者・設計者・監理者)の立会の調整と試験結果の記録・報告が重要な管理項目です。試験結果によって杭長・施工条件の変更が必要になる場合があります。
試験杭は「本番前の予行演習」ではなく、「施工方法を確定するための正式な確認工程」です。
目的・手順・施工管理上の確認ポイントを整理しましょう。
杭工事では地盤調査の結果に基づいて設計杭長・施工方法が計画されます。
しかし実際に施工してみると、地盤の状況が想定と異なる場合があります。
試験杭を行う主な目的は次の通りです。
ザックリ言えば、「計画通りに杭が打てるか・支持層に届くかを1本試してから本番に入る」ということです。
試験杭で確認する支持層N値は、昭和46年建設省告示第111号(下図)第三の支持ぐい許容支持力算定式の基本指標として規定されています。
試験杭の結果、当初設計と異なる状況が判明した場合は設計変更が必要になります。
例えば、地盤調査では支持層が-15mにあるとされていたが、試験杭を施工したら-18mまで杭を打ち込まないと支持層に達しなかった場合、3m分の杭長増加と工事費の増加を発注者に説明・承認を得てから本杭工事に移行するわけです。
場所打ちコンクリート杭の試験杭を含む施工管理規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)4.5節に示されています。
混同しやすい用語の整理
試験杭は本杭工事の前に実施する確認用の杭。支持層・施工条件を確認して本杭の施工基準を決める。本杭は設計通りの位置・本数で施工する実際の杭。試験杭の結果を踏まえて施工する。
呼び方の違いで、同じ意味で使われることが多い。「試験杭」は試験的施工のイメージが強く、「確認杭」は支持層確認を強調する場合に使われる。設計図書の表記に従う。
試験杭を実施する主な目的は何か?
①支持層の深度・状況の確認、②採用した施工方法の妥当性確認、③施工機械の適合性確認。試験結果を基に本杭工事の施工管理基準を決定する。
試験杭の立会通知はいつまでに関係者に行うべきか?
一般的に2週間前以上の余裕をもって通知する。発注者・設計者・監理者のスケジュール調整が必要なため、早めの通知が基本。
試験杭の施工記録はなぜ重要なのか?
試験杭の施工記録(打撃回数・貫入量・施工データ)が本杭工事の支持層到達判断の管理基準になるため。記録精度が低いと本杭施工時に「支持層に達しているか」の客観的判断ができなくなる。
試験杭で支持層が設計より深かった場合、最初にすべきことは何か?
設計者・監理者・発注者に状況(試験杭の支持層到達深度・設計との差)を報告する。杭長変更・コスト・工期への影響を説明して変更の承認を得てから本杭工事に移行する。
試験杭の結果は何にまとめて提出するか?
試験結果報告書。施工記録・支持層深度・施工データ・本杭施工の管理値案をまとめて設計者・監理者に提出し、本杭施工の承認を得る。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 杭工事の施工管理ポイントを確認する
> 杭頭処理とは何かを確認する
参考資料
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 第3章 杭工事」
・JASS 4 杭・地業工事(日本建築学会)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
試験杭で施工管理上注意したいのが「立会の通知が遅くて関係者全員が来られない」問題です。
試験杭は発注者・設計者・監理者が揃って立会することが基本ですが、それぞれのスケジュール調整が遅れると工程がずれます。試験杭の日程は少なくとも2週間前には関係者全員に通知して日程を調整する習慣が重要です。
もう一つは施工記録の精度です。
試験杭の施工記録は本杭施工の管理基準になります。
「だいたいこれくらい打ち込んだ」という記録では、本杭施工時に「支持層に達しているか」の判断ができなくなります。打撃回数・貫入量・電流値等を1本ごと丁寧に記録することが、後工程の品質管理の基礎になります。