けんせつる
セメントミルク工法でオーガーを引き上げるとき、正回転と逆回転のどちらが正しいか、理由から理解してみよう。
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.23は、既製コンクリート杭の施工に関する問題です。正解は選択肢2。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.23は、既製コンクリート杭(プレキャスト杭)の各施工工法に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 中掘り工法では砂質地盤の場合、先掘り長さを杭径以内に調整する |
| 2 | ×(誤り) | セメントミルク工法の引上げ時は正回転が正しい(逆回転は誤り) |
| 3 | ○(正しい) | 施工精度:傾斜1/100以内、杭心ずれ杭径の1/4かつ100mm以下 |
| 4 | ○(正しい) | PHC杭頭部切断後350mm程度はプレストレスが低下しているため補強が必要 |
選択肢2の「引上げ時は逆回転とする」という記述が誤りです。引上げ時も正回転が正しい操作です。
中掘り工法は、杭の中空部分にオーガーを通して掘削しながら杭を沈設する工法です。
砂質地盤での先掘り長さ(杭先端よりも先にオーガーで掘削する長さ)は、杭径以内に調整することが定められています。
先掘り長さが大きすぎると杭周辺の地盤が緩み、杭の支持力低下につながるためです。例えば杭径が500mmなら、先掘り長さは500mm以内に収めるということです。
これが誤りを含む選択肢です。なぜ引き上げるときも正回転なのか、工法の仕組みから理解しましょう。
セメントミルク工法は、アースオーガーで地盤を掘削しながら先端からセメントミルクを噴射し、掘削土とセメントミルクを混合してソイルセメント柱を形成する工法です。
アースオーガーを引き上げるときも、正回転を維持することでオーガースクリューが土を上方に送りながらゆっくり引き上がります。これにより、セメントミルクと掘削土が均一に混合されたソイルセメントの品質が保たれるわけです。
逆回転にすると、スクリューの羽根が土を引き込む方向に回転するため、掘削孔の壁が崩れてセメントミルクが分離します。注入したセメントミルクが偏ってしまい、杭周辺のソイルセメントが不均一になるという問題が生じます。
「引上げ時は逆回転とする」という記述は誤りで、掘削も引上げも正回転が正しい操作です。
けんせつるのひとこと
「引き上げるなら逆回転のほうが自然」と感じる人も多いですが、それはドリルのイメージからくる誤解です。セメントミルク工法では、一貫して正回転でセメントミルクと土の混合状態を維持するのが重要だという点を、理由と一緒に覚えておくと試験でも迷いません。
杭の施工精度には明確な基準が定められています。
傾斜:1/100以内、杭心ずれ量:杭径の1/4かつ100mm以下という数値は、そのまま覚えておく必要があります。
傾斜が大きいと杭の鉛直支持力が計算値と大きく変わります。杭心ずれも基礎との接合部の応力状態に影響するため、どちらも施工管理の重要なチェック項目です。
PHC杭(プレテンション方式遠心力高強度プレストレストコンクリート杭)は、製造時にPC鋼材でプレストレスが与えられています。
杭頭部を切断すると、切断面近くではPC鋼材のプレストレスが端部に伝わりきらない「定着長」の問題が生じます。切断面から350mm程度までの範囲はプレストレスが不足しているため、鉄筋補強などの措置が必要です。
では、各選択肢の内容を確認できましたか。この問題のポイントはセメントミルク工法の引上げ時の操作を正確に押さえておくことです。
セメントミルク工法のオーガー操作は、掘削時も引上げ時も変わりません。
掘削=正回転、引上げ=正回転、一貫して正回転という一本の流れで覚えると、「引上げ時は逆回転」という誤りの選択肢に引っかからなくなります。
セメントミルク工法でアースオーガーを引き上げる際の回転方向はどちらか。
正回転です。引上げ時も正回転を維持することで、セメントミルクと掘削土が均一に混合された状態を保つことができます。
PHC杭の頭部を切断した場合、切断面からどの程度の範囲で補強が必要か。
切断面から350mm程度の範囲です。この区間はプレストレスが十分に伝達されていないため補強が必要です。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢2
セメントミルク工法では、アースオーガーの掘削時も引上げ時も正回転が正しい操作です。引上げ時に逆回転にすると掘削孔が乱れ、注入したセメントミルクが分離してソイルセメント壁の品質が低下するわけです。「引上げ時は逆回転」という記述が誤りです。