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セメントミルク工法とは?根固め液を入れる順番とアースオーガーの回転方向

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けんせつる

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セメントミルク工法って、結局どういう順番で施工するの?

アースオーガーって、引き上げるときは逆に回すんじゃないの?

この記事の要点

セメントミルク工法は、アースオーガーであらかじめ掘った孔に根固め液を入れ、そこへ既製コンクリート杭を建て込む工法です。打撃で打ち込まないので、騒音・振動が小さくなります。

使う液は3つあり、掘削液・根固め液・杭周固定液で役割が違います。

過去問では「根固め液と杭のどちらが先か」「アースオーガーをどう回し、どう引き上げるか」が繰り返し問われます。

セメントミルク工法とは、アースオーガーであらかじめ掘削した孔に根固め液を注入し、既製コンクリート杭を建て込む埋込み工法です。

正式にはプレボーリング根固め工法といいます。プレボーリング(あらかじめ掘る)という名のとおり、先に孔をあけておくのが特徴です。

杭をハンマーで打ち込む打込み工法と違い、先に孔があるので騒音・振動が小さく、市街地の工事で使われます。

この工法でつまずきやすいのは、液と杭を入れる順番です。杭を入れてから液を入れるのではなく、液を入れてから杭を建て込みます。

セメントミルク工法の順序の模式図。①掘削液を入れながらアースオーガーで掘る、②支持層で根固め液に切り替える、③杭周固定液を入れながら正回転で引き上げる、④最後に既製杭を建て込む、という4段階を示す。
セメントミルク工法は、掘削液・根固め液・杭周固定液の順に液を入れ、最後に既製杭を建て込む。※順序をイメージでつかむための模式図。形・寸法・比率は実物どおりではない。
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セメントミルク工法の施工手順

施工は、次の順で進みます。液が3回に分けて登場する点に注目してください。

やること
1 掘削:掘削液を注入しながら、アースオーガーで地盤を掘る
2 根固め:支持層に達したら根固め液に切り替え、支持層の土砂を掘削・攪拌する
3 引上げ:杭周固定液を注入しながら、アースオーガーを正回転のままゆっくり引き上げる
4 建込み:既製コンクリート杭を、自沈・圧入または軽打で所定の深さに定着させる

杭が登場するのは最後の4です。孔・液が先、杭が後という順番になります。

掘削液・根固め液・杭周固定液の役割

3つの液は名前が似ていますが、入れる場所も目的も違います。

いつ 何のために
掘削液(安定液) 掘削中 孔壁の崩壊を防ぐ。一般にベントナイト泥水を用いる
根固め液 支持層に達したとき 杭の先端を支持層に固定する(先端支持力の確保)
杭周固定液 オーガーの引上げ中 杭と周囲の地盤との摩擦力・水平抵抗を確保する

先端で支えるのが根固め液、杭の側面で支えるのが杭周固定液、と分けて覚えると混ざりません。

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施工管理では何を確認するのか

セメントミルク工法で確認する項目は、次のとおりです。

  • オーガーヘッドの径:杭径よりも100mm程度大きいものを使う(公共建築工事標準仕様書)。杭を入れる孔なので、杭径より大きく掘ります。
  • 回転方向:掘削時も引上げ時も正回転とする。引上げのときだけ逆回転にするのは誤りです。
  • 引上げ速度:孔壁が崩れないように、ゆっくり引き上げる。速く引き上げると孔壁が崩れます。
  • 支持層への到達:アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化で確認する。硬い層に入ると掘削の抵抗が増えるためです。
  • 施工精度:傾斜は1/100以内、杭心ずれ量は杭径の1/4かつ100mm以下とする。

掘削の速度は、粘着力の大きい地盤や硬い地盤ほど遅くします。地盤調査の結果と実際の掘削抵抗を照らして進めることになります。

混同しやすい用語の整理

セメントミルク工法 と 中掘り工法

セメントミルク工法は、先に孔を掘ってから、あとで杭を建て込みます。孔と杭が別々の作業です。

中掘り工法は、杭の中空部にアースオーガーを挿し込み、杭の中を掘りながら杭自体を沈めていきます。孔を掘る作業と杭を入れる作業が同時です。

「先に掘ってから杭」がセメントミルク工法、「杭の中を掘りながら杭」が中掘り工法、と分けると取り違えません。

過去問でどう問われたか

セメントミルク工法は、平成29年度から令和7年度まで、1級・2級とも第一次検定で繰り返し問われています。引っかけは大きく3つのパターンです。

  • 回転方向の取り違え……引上げのときだけ逆回転にすると読ませる(正しくは掘削時も引上げ時も正回転)。
  • 引上げ操作の逆……孔壁の崩壊を防ぐために引上げを「速くする」と読ませる(正しくはゆっくり)。
  • 根固め液と杭の順序……杭を挿入してから根固め液を注入すると読ませる(正しくは根固め液が先、杭が後)。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和7年 No.23 掘削時は正回転、引上げ時は逆回転とした → 引上げ時も正回転 ←①回転方向
2級 令和6年前期 No.19 根固め液は掘削した孔に杭を挿入した後に注入するとした → 杭を入れる前に孔底へ注入 ←③順序
2級 令和4年前期 No.19 孔壁の崩壊が生じないよう引上げ速度を速くするとした → ゆっくり引き上げる ←②引上げ操作
2級 平成29年前期 No.40 あらかじめ掘削した孔に杭を挿入後、根固め液を注入する工法とした → 根固め液を入れてから杭を建て込む ←③順序

つまりアースオーガーは掘削時も引上げ時も正回転、引上げはゆっくり、根固め液は杭より先。回転方向・引上げ速度・液と杭の順序を逆にするのが誤りです。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

セメントミルク工法で、アースオーガーを引き上げるときの回転方向はどちらか。

正回転です。掘削時も引上げ時も正回転とします。引上げ時だけ逆回転にするという記述は誤りです。

Q.

根固め液は、杭を建て込む前と後のどちらで注入するか。

杭を建て込む前です。支持層に達したところで根固め液に切り替えて注入し、そのあとで既製杭を建て込みます。順序を逆にすると誤りになります。

Q.

オーガーヘッドの径は、杭径に対してどうするか。

杭径よりも100mm程度大きいものを使います。掘った孔に杭を入れるので、杭径より大きく掘る必要があります。

Q.

支持層に達したことは、何で確認するか。

アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化で確認します。硬い支持層に入ると掘削抵抗が増え、電流値が変化するためです。

まとめ

  • セメントミルク工法(プレボーリング根固め工法)=先に掘った孔に根固め液を入れ、既製杭を建て込む埋込み工法。
  • 液は3つ。掘削液=孔壁の保護、根固め液=先端支持力、杭周固定液=周面の摩擦力。
  • オーガーヘッドは杭径+100mm程度。掘削時も引上げ時も正回転で、引上げはゆっくり。
  • 過去問の引っかけは、回転方向・引上げ速度・根固め液と杭の順序の3つ。

> 杭工事の全体像は杭工事の施工管理を確認する
> 現場でつくる杭は場所打ちコンクリート杭を確認する
> 支持層の調べ方は地盤調査を確認する

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参考資料

  • 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)地業工事(アースオーガーヘッドの径=杭径+100mm程度)
  • 日本コンクリート工業「セメントミルク工法」(掘削液・根固め液・杭周固定液の施工手順、既製杭の埋込み工法としての分類)
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級・2級 建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」(回転方向・引上げ速度・根固め液の順序の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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