けんせつる
開先って何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
開先(かいさき)とは、溶接する鋼材の端部に設ける溝の形状のことです。溶接金属を母材の奥まで溶け込ませるために加工します。
開先の形状と溶接方法の組み合わせが溶接部の強度を左右するため、施工管理では溶接前の開先形状確認・溶接後の外観検査・非破壊検査が主な確認ポイントになります。
鉄骨の溶接は、ただ「くっつける」だけでなく、必要な強度を確実に確保します。
開先形状を正しく加工しないと、溶接金属が母材の奥まで入り込まず、見た目はきれいでも内部に欠陥が残る状態になります。
開先の形状は接合する板厚・溶接姿勢・強度要求によって選ばれます。
| 開先の形状 | 概要 | 特徴・適用 |
|---|---|---|
| I形開先 | 鋼材端部を垂直に切り落とした形状。開先加工なし | 薄板(6mm以下程度)の突合せ溶接に使用。加工不要だが深い溶け込みは難しい |
| V形開先 | 片側だけを斜めに削ったV字形の溝 | 片面からの溶接に使う。最も一般的な開先形状 |
| K形開先 | 両側を斜めに削ったK字形の溝 | 両面から溶接できる場合に使う。V形より溶着量が少なくて済む |
| X形開先 | 両側を対称に削ったX字形の溝 | 厚板の突合せ溶接に使用。両面から溶接することで変形を抑えられる |
| J形・U形開先 | 溝の底部が曲線になった形状 | 深い溶け込みが必要な厚板に使用。加工コストが高い |
ザックリ言えば、「板が薄ければI形・V形で十分、板が厚くなるほどK形・X形で両面から溶接する」という考え方です。
ここは混乱しやすいところですね。溶接方法は大きく「完全溶け込み溶接」と「隅肉溶接」に分かれます。
| 溶接方法 | 概要 | 強度・用途 |
|---|---|---|
| 完全溶け込み溶接(CJP溶接) | 開先を設けて母材の板厚全体に溶接金属を溶け込ませる | 引張・せん断両方に強い。柱梁接合部など高強度が必要な部位に使う |
| 部分溶け込み溶接(PJP溶接) | 開先を設けるが、板厚の途中までしか溶け込ませない | 完全溶け込みより強度が低い。圧縮力が主体の部位に使われることがある |
| 隅肉溶接(すみにくようせつ) | 開先を設けず、鋼材の角部を溶接で埋める | せん断力に対応。ブラケット・ダイアフラム等の二次部材の接合に使う |
例えば、柱と梁のフランジを接合する主要接合部は完全溶け込み溶接が必要です。一方、ガセットプレートや補強プレートの取り付けには隅肉溶接が使われます。
完全溶け込み溶接の内部欠陥は外観では確認できません。超音波探傷試験(UT)によって内部の溶け込み不足・割れ・ブローホールを確認します。
詳しくは溶接欠陥の種類と検査方法で確認してください。
開先形状・溶接後の確認(外観検査・超音波探傷試験)の規定は、公共建築工事標準仕様書(下図)の7.6節に定められています。
混同しやすい用語の整理
ルートギャップは突合せ溶接で対向する鋼材の間に設けるすき間のことです。溶接金属が裏側まで溶け込むために必要です。
ルートフェイスは開先の底部(ルート部)に残す平面部分の幅です。ルートフェイスが大きすぎると裏側まで溶け込まず、小さすぎると溶け落ちる(バーンスルー)リスクがあります。
完全溶け込み溶接は板厚全体に溶け込ませる高強度の溶接で、開先加工が必要です。隅肉溶接は開先加工なしで鋼材の角部を溶接で接合する方法で、せん断力に対応します。
柱梁主接合部には完全溶け込み溶接、二次部材の取り付けには隅肉溶接、という使い分けが基本です。
柱と梁のフランジを接合する主要接合部に用いる溶接方法は?
完全溶け込み溶接(CJP溶接)。板厚全体に溶接金属を溶け込ませることで引張力・せん断力両方に対応する高強度の溶接方法。
開先加工が必要。
完全溶け込み溶接の内部欠陥を確認するために行う検査は?
超音波探傷試験(UT)。溶接部に超音波を入射し、内部の欠陥(溶け込み不足・割れ・ブローホール等)からの反射波で欠陥を検出する非破壊検査。
> 鉄骨溶接の施工管理ポイントを確認する
> 溶接欠陥の種類と検査方法を確認する
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
開先角度・ルート間隔は溶接前に現物を測定して記録しておくことが大切です。
組立て溶接は本溶接と同等の資格・管理が必要で、本溶接前に仮付け溶接の位置・サイズを確認してください。