けんせつる
食い違いの許容差って板厚に関係なく同じなの?気温が低い日は加熱すれば溶接していいの?
この記事の要点
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.57は、鉄骨の溶接に関する応用能力問題です。五肢のうち不適当なものを2つ選ぶ問いで、正解:選択肢3・5。
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.57は、鉄骨の溶接に関する応用能力問題です。五肢択二で「不適当なもの」を2つ選ぶ形式なんです。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
5つの記述のうち、不適当なものを2つ選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 表面割れは両端から50mm以上斫り取って補修溶接 |
| 2 | ○(正しい) | 裏当て金は母材と同等の鋼種の平鋼を用いる |
| 3 | ×(誤り) | 食い違いの許容差は板厚の区分で異なる。同じ値ではない |
| 4 | ○(正しい) | 490N/mm²級鋼材の組立て溶接に低水素系溶接棒を使用 |
| 5 | ×(誤り) | 気温が−5℃を下回る場合は溶接を中止する。加熱しても不可 |
選択肢3は食い違いの許容差を板厚にかかわらず同じ値とした点が誤りで、許容差は板厚の区分によって異なります。選択肢5は気温が−5℃を下回っても加熱して溶接した点が誤りで、−5℃を下回る場合は溶接を行ってはいけません。
この問題のテーマは、鉄骨を溶接でつなぐときの不具合対応・材料・施工条件なんです。
判断の軸は3つあります。割れや裏当て金など「処置・材料」、許容差という「精度の基準」、そして気温という「施工環境」です。
許容差と環境条件のところで引っかけてくるので、丁寧に見ていきましょう。
選択肢1は、表面割れを両端から50mm以上斫り取って補修溶接した内容です。
割れは先端からさらに進行する性質があります。割れた範囲ちょうどを削るだけでは、見えない先端を残してしまうおそれがあります。溶接欠陥の補修で押さえておきたい考え方です。
そこで割れの両端から余裕をもって50mm以上斫り取り、健全な部分から溶接し直します。正しい記述ですね。
選択肢2は、裏当て金に母材と同等の鋼種の平鋼を用いた内容です。
裏当て金は、開先の裏側に当てて溶融金属を受け止める部材です。溶接金属と一体化するため、母材と性質が違うと弱点になります。
母材と同等の鋼種の平鋼を使えば、相性よく溶け合います。正しい記述です。
これが誤りを含む選択肢の1つです。突合せ継手の食い違いの許容差を、鋼材の厚みにかかわらず同じ値とした内容です。
食い違いとは、突き合わせた2枚の板の表面がずれていることです。同じずれでも、薄い板では影響が大きく、厚い板では相対的に小さくなります。
そのため許容差は板厚の区分ごとに分けて定められています。厚みにかかわらず同じ値は誤りということです。
選択肢4は、490N/mm²級鋼材の組立て溶接を被覆アーク溶接で行うため、低水素系溶接棒を使用した内容です。
強度の高い鋼材は、溶接金属に水素が入り込むと低温割れを起こしやすくなります。
低水素系溶接棒は水素の発生が少ないため、490N/mm²級のような高張力鋼に適しています。正しい記述です。なんとなくイメージできましたか。
これが誤りを含むもう1つの選択肢です。気温が−5℃を下回っていたため、溶接部より100mmの範囲の母材を加熱して作業を行った、としています。
気温が低いと鋼材が急冷されやすく、割れの原因になります。そこで施工条件が温度で区分されているんです。
−5〜5℃では母材を加熱すれば溶接できますが、−5℃を下回る場合は溶接を行ってはいけません。加熱して作業したという記述は誤りなんです。ここは混乱しやすいところですね。
許容差は板厚の区分で変わる(同じ値は誤り)。気温は−5℃を下回ったら溶接中止、−5〜5℃は加熱すれば可
選択肢3は「精度は板厚で変わる」、選択肢5は「−5℃が境目」と2点で整理すると迷いません。割れは50mm以上斫る、高張力鋼は低水素系も合わせて押さえておきましょう。
突合せ継手の食い違いの許容差は、板厚にかかわらず同じ値か。
同じ値ではありません。許容差は板厚の区分によって異なります。
気温が−5℃を下回る場合、母材を加熱すれば溶接してよいか。
溶接を行ってはいけません。−5℃を下回る場合は中止します。−5〜5℃なら母材を加熱して溶接できます。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢3・5
「許容差はどれも同じ値」という言い回しを見たら疑うのが一番安全です。選択肢3は食い違いの許容差を板厚にかかわらず同じ値とした点、選択肢5は気温が−5℃を下回っても加熱すれば溶接したとした点が誤りなんです。−5℃を下回ったら溶接は中止する、と覚えておきましょう。