けんせつる
グラウト充填って何をするの?なぜ必要なの?
この記事の要点
グラウト充填は、鉄骨柱脚のベースプレートと基礎コンクリートの隙間に無収縮モルタルを充填する工程です。ベースプレートを水平に設置するためのレベル調整後に行い、柱脚が全面で基礎に密着した状態をつくります。
施工管理では充填状況の確認(充填不良・空洞の有無)と供試体採取による強度確認が主なチェックポイントです。充填不良が残ると、柱に荷重がかかった際にベースプレートが局所的に変形するリスクがあります。
グラウト充填は地味に見えますが、鉄骨柱脚の荷重伝達経路の要となる工程です。
なぜ必要か、何を使うか、何を確認するかの順で整理しましょう。
鉄骨造では、アンカーボルトを基礎コンクリートに埋め込み、その上にベースプレートを載せて鉄骨柱を建て込みます。
このとき、アンカーボルトに固定したレベルナット(レベル調整用のナット)でベースプレートの水平を出すと、ベースプレートと基礎コンクリートの間に数mm~数十mmの隙間が生じます。
この隙間をそのままにすると、柱の重量・地震力がベースプレートのアンカーボルト周辺のみに集中してしまうわけです。
グラウト充填はその隙間を無収縮モルタルで完全に充填し、荷重をベースプレート全面から均等に基礎に伝える状態をつくるために行います。
グラウト充填に使う材料は無収縮モルタル(グラウト材)です。
通常のモルタルやコンクリートは硬化時に収縮します。収縮すると充填した隙間に「浮き」が生じ、荷重伝達が不均一になります。これを防ぐため、膨張材を配合して収縮を相殺した無収縮モルタルを使うわけです。
無収縮モルタルの主な特徴は次の通りです。
ザックリ言えば、「収縮しないから隙間を確実に埋められる」材料が必要なため、無収縮モルタルを使うということです。
グラウト充填の施工は、ベースプレートのレベル調整完了後に行います。
例えば、排気口(確認窓)を設けなかった場合、グラウト材がベースプレート全面に行き渡ったかどうかを外から確認できません。
充填不良が後で発見されると、グラウトを撤去して再施工する手間が発生するわけです。設計図書に確認窓の指示があるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
打音検査や目視で充填不良(空洞・未充填箇所)が見つかった場合は、次の手順で対応します。
混同しやすい用語の整理
アンカーボルト設置は基礎コンクリート打設前にボルトを型枠内に配置する工程。グラウト充填はその後、ベースプレートを設置しレベル調整が完了してから行う工程。順序が逆にはならない。
無収縮モルタルは膨張材を配合して硬化収縮を抑えた材料。グラウト充填専用。普通モルタルは硬化時に収縮するためグラウト充填には不適。ベースプレート下の充填には必ず無収縮モルタルを使用する。
グラウト充填に無収縮モルタルを使う理由は何か?
硬化収縮がないため。通常のモルタルは硬化時に収縮して充填した隙間に浮きが生じる。無収縮モルタルは膨張材の配合により収縮を相殺し、ベースプレート下面に密着した状態で固結する。
グラウト充填で確認窓(排気口)を設ける目的は何か?
ベースプレート全面への充填完了を確認するため。確認窓からグラウト材がはみ出てきたとき、全面充填が完了したと判断できる。確認窓がないと充填状況の確認方法がなくなる。
グラウト充填の施工中に供試体を採取する目的は何か?
圧縮強度試験による品質確認のため。採取した供試体の強度が設計基準強度以上であることを確認する。採取タイミング・本数は設計図書・施工計画書の指示に従う。
打音検査でグラウト充填不良(空洞)が発見された場合、最初にすべき対応は何か?
施工者が独自に処理せず、監督員・設計者に報告する。不良の程度に応じて補修方法(低圧注入補修か全撤去再施工か)を協議で決定する。
グラウト充填はベースプレートのレベル調整の前に行うか後に行うか?
レベル調整の後。レベルナットでベースプレートの水平を確保した後に、生じた隙間にグラウト材を充填する。順序が逆になるとレベル調整ができなくなる。
> アンカーボルトの設置と施工管理を確認する
> 鉄骨の建て方と施工管理を確認する
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考資料
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 第7章 鉄骨工事」
・JASS 6 鉄骨工事(日本建築学会)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
グラウト充填で現場で起きることがあるのが「確認窓(排気口)を設けていなかったので充填状況が分からない」という状態です。
グラウト材が全面に回ったかどうかを確認する手段がなければ、品質管理の証拠が残りません。設計図書に確認窓の指示がない場合でも、施工計画書で確認方法を事前に決めておくことが重要です。
もう一つは供試体の採取記録です。
採取した本数・採取日・試験日をきちんと記録しておかないと、強度確認の証拠として使えません。グラウト充填は鉄骨柱脚という構造上の要部なので、記録の丁寧さが後の品質証明につながります。