けんせつる
開削工法って何?掘削の流れと施工管理では何を見ればいいの?
この記事の要点
開削工法は、地表から掘削して地下構造物(地下室・地下駐車場・地下埋設管等)をつくる最も基本的な地下工事の工法です。掘削の深さ・規模・地盤条件に応じた山留め工法を組み合わせて施工します。
施工管理では山留め壁の変位管理・腹起し・切りばりの設置タイミング・地下水処理の管理が主なチェックポイントです。
開削工法は「地面を掘って構造物をつくる」シンプルな工法ですが、地下水処理と山留め管理が施工管理の核になります。
手順と各段階の確認ポイントを整理しましょう。
開削工法の一般的な施工手順は次の通りです。
ザックリ言えば、「山留め壁で側面を押さえながら、段階的に掘り下げていく工法」ということです。
開削工法では掘削する深さ・地盤条件・近接構造物の状況によって山留め工法を選定します。
| 山留め工法 | 特徴 | 主な適用場面 |
|---|---|---|
| 親杭横矢板 | H形鋼を一定間隔に建込み木矢板を挟む。止水性なし | 地下水位が低い地盤・比較的浅い掘削 |
| 鋼矢板(シートパイル) | U形・Z形の鋼材を連続して建込む。ある程度の止水性あり | 地下水位が高い地盤・河川近傍 |
| SMW工法 | ソイルセメント柱列壁に芯材を建込む。止水性高い | 地下水位が高い都市部・近接施工が多い |
| 地下連続壁 | 鉄筋コンクリート壁を連続して構築。剛性・止水性最高 | 大深度掘削・永久構造物として活用 |
山留め壁の安全性確認・支保工の設置タイミング・変位計測の義務については、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)3.3節に規定されています。
腹起し・切りばり(ストラット)は山留め壁を内側から支持する仮設部材です。
掘削中の地下水処理は施工の安全と品質を左右する重要な管理項目です。
例えば、掘削中に想定より多量の湧水が発生した場合、ディープウェルの能力不足か・地盤の想定外の高透水性地盤に当たったかが考えられます。
湧水量の急増は即座に監督員・設計者に報告する必要があります。
掘削中の排水管理と湧水処理の基本規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)3.2節に示されています。
混同しやすい用語の整理
腹起しは山留め壁の壁面に沿って水平に設置する部材で、切りばりの力を壁面に均等に分散させる。切りばり(ストラット)は向かい合う腹起し間を斜めまたは水平に突っ張って山留め壁を支持する部材。
根切りは建物の基礎をつくるために地盤を掘ること(建築用語)。掘削は土木で地盤を掘ること(土木用語)。どちらも「地面を掘る」行為だが、建築の現場では「根切り」、土木工事では「掘削」を使うことが多い。
開削工法で止水性が最も高い山留め工法はどれか?
地下連続壁(アンダーピニング工法等で用いる鉄筋コンクリート製の連続壁)。剛性・止水性が最高で、永久構造物として活用することもできる。次いでSMW工法が止水性が高い。
切りばり(ストラット)を設置するタイミングが遅れると何が起きるか?
山留め壁が掘削による側圧で内側(掘削側)に大きく変形するリスクが生じる。変形が大きくなると修正が困難になるため、設計図書の指示タイミングで即座に設置する。
開削工法で掘削中に湧水量が急増した場合、最初にすべきことは何か?
監督員・設計者に速やかに報告する。排水設備の増強・薬液注入等の追加対策を設計者と協議する。
腹起しと切りばり(ストラット)の違いは何か?
腹起しは山留め壁の壁面に沿って水平に設置し、切りばりの力を壁面に均等に分散させる。切りばりは向かい合う腹起し間を突っ張って山留め壁を支持する。両者がセットで山留め壁の変形を防ぐ。
地下水位の低下が引き起こす近隣への主なリスクは何か?
近隣建物の地盤沈下・近隣の井戸枯れ。地下水位を下げると地盤の有効応力が増加して地盤沈下が生じる場合がある。近傍の水位・地盤変位の監視が必要。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 山留め工法の種類と特徴を確認する
> 根切り・掘削工事の施工管理を確認する
参考資料
・地盤工学会「山留め設計施工指針」
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 第4章 土工事・山留め工事」
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
開削工法で施工管理上注意したいのが「切りばりを外す前に確認しない」問題です。
埋め戻しのために切りばりを撤去するとき、躯体のどの部分がどの段階で完成しているかを図面で確認せずに外すと、山留め壁が変形します。切りばり撤去のタイミングは設計図書・施工計画書で確認してから実施する必要があります。
もう一つは掘削底面の不陸(凹凸)を放置することです。
基礎コンクリートの打設前に底面を均していないと、コンクリートの厚さが不均一になって設計通りの強度が出ません。捨てコンを打設する前の底面確認が重要です。