けんせつる
SMW工法って何?山留めでどう使われるの?
この記事の要点
SMW工法(Soil Mixing Wall)は、多軸オーガで地盤とセメントミルクを混合撹拌してソイルセメント柱列壁をつくり、芯材(H形鋼等)を建込んで山留め壁とする工法です。
施工管理では配合管理(セメント量・水セメント比)と芯材建込みの垂直精度確認が主なチェックポイントです。また工事の目的がSMW=山留め壁か・地盤改良かによって施工管理の方針が変わります。
SMW工法は都市部の地下工事でよく使われる山留め工法です。
仕組みと施工管理のポイントを整理しましょう。
掘削工事では周辺地盤の崩壊・地下水の侵入を防ぐための山留め壁が必要です。
SMW工法は地盤内でセメントミルクを混合して壁体を直接つくるため、次のような特徴があります。
施工手順は主に次の3段階です。
ソイルセメントの品質は配合(セメント量・水セメント比)が大きく左右します。
配合は設計図書・施工計画書で定められています。
ザックリ言えば、「配合の証拠(注入量記録+供試体)を残すことが品質管理の核」ということです。
SMW工法で使用するセメント系固化材の改良体(ソイルセメント柱列壁)の許容応力度は、昭和46年建設省告示第111号(下図)第五に規定されています。
芯材(H形鋼)の建込みは、ソイルセメントが硬化する前に行うタイムリミットのある作業です。
傾いた状態で建込まれると、山留め壁の剛性・止水性に影響します。
SMW工法は振動が少ない工法ですが、施工時の振動・地盤変位が近隣建物・埋設管に影響する場合があります。
例えば、SMW施工中に近隣建物のひび割れが発見された場合、「施工前からあったか・施工後に発生したか」で対応が変わります。
事前の現況調査記録が、施工前からの状態であることを証明する唯一の手段になるわけです。
山留め工法として使用されるSMW工法の安全性確認・変位計測の義務は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)3.3節に示されています。
混同しやすい用語の整理
SMW工法はオーガで地盤とセメントミルクを混合して壁体をつくる。主に山留め壁。薬液注入工法は注入管から薬液を地盤に圧送・浸透させる。主に止水・部分補強。どちらも地盤を固める工法だが規模と目的が異なる。
SMW(ソイルセメント柱列壁)は連続した壁体で止水性がある。親杭横矢板はH形鋼を一定間隔に建込み木矢板を挟む工法で止水性はない。地下水位が高い場所ではSMW等の止水工法が必要。
SMW工法の「SMW」は何の略か?
Soil Mixing Wall(ソイルミキシングウォール)。地盤(Soil)を混合(Mixing)してつくる壁(Wall)の意。
SMW工法の品質管理の核となる確認は何か?
配合管理(セメント注入量の記録)と供試体の一軸圧縮試験。注入量記録と供試体強度の両方が品質証明の証拠になる。
芯材(H形鋼)の建込みにタイムリミットがある理由は何か?
ソイルセメントが硬化する前に建込む必要があるため。硬化後は芯材を所定の深さまで建込めなくなる。
SMW施工前に近隣建物の現況調査を行う目的は何か?
施工前からのひび割れ・傾き等の状況を記録しておくため。施工後に近隣からクレームがあった場合に「施工前からあった状態か・施工後に発生したか」を証明できる。
SMW工法と親杭横矢板工法の主な違いは何か?
SMWは連続したソイルセメント壁体で止水性がある。親杭横矢板はH形鋼を一定間隔に建込み木矢板を挟む工法で止水性はない。地下水位が高い場所ではSMW等の止水工法が必要。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 山留め工法の種類と特徴を確認する
> 薬液注入工法の施工管理を確認する
参考資料
・地盤工学会「山留め設計施工指針」
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版」
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
SMW工法で施工管理上注意したいのが「配合記録の精度が低い」問題です。
注入ポンプの流量計が正常か確認せず、「だいたいこれくらい入れた」という記録では供試体が合格でも信頼性が低くなります。施工データの自動記録システムを活用するか、人による計量記録を丁寧に行うかを施工計画書で決めておくことが重要です。
もう一つはSMWが「山留め壁として機能しているのか・地盤改良として機能しているのか」を現場担当者が理解していないこと。完了後の確認方法(コア採取・強度試験等)が目的によって変わるため、設計意図を着工前に確認しておくことが基本です。