けんせつる
ヒービングが起きそうなとき、ウェルポイントで水を抜けば防げると思っていないだろうか?
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.22は、土工事に関する問題です。正解は選択肢1。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.22は、土工事における地盤変状への対策に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | ヒービングは土圧の不均衡が原因であり、ウェルポイントによる地下水位低下では防止できない |
| 2 | ○(正しい) | 凍結した地盤は良質土と置換するのが正しい対処 |
| 3 | ○(正しい) | 粘性土の法付けオープンカットでは円弧すべりの安定検討が必要 |
| 4 | ○(正しい) | 砂質土の床付け面を乱した場合はローラーで転圧して強度を回復させる |
選択肢1の「ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた」という記述が誤りです。ヒービングの防止に地下水位低下は効果がありません。
これが誤りを含む選択肢です。ウェルポイントとヒービングの関係を整理しましょう。
ウェルポイント工法は、地中に細いウェルポイント管を打ち込み、地下水を強制的に吸い上げて地下水位を低下させる工法です。主に砂質地盤での地下水対策に用います。
一方、ヒービングは軟弱な粘性土地盤で発生する現象です。粘性土は排水性が低く、地下水位を下げても土のせん断強度はすぐには変わりません。
ヒービングの原因は「掘削外側の土の重量」が「掘削底面の土のせん断強度」を上回ることによる底面の破壊です。水の問題ではなく、土の強度と荷重のバランスの問題なんです。
ザックリ言えば、ヒービングは「水を抜く」で解決できる話ではなく、「土の強度をどう確保するか」の問題だということです。
けんせつるのひとこと
「地下水が問題なら水を抜けばいい」という発想でウェルポイントを選びがちですが、ヒービングは水の問題ではないというのが一番危ない考え方です。地盤の種類(粘性土か砂質土か)と現象の原因をセットで覚えることが重要です。
では、ヒービングへの正しい対策は何でしょうか。有効な対策はいくつかあります。
代表的なものは、山留め壁の根入れ深さを十分に確保することです。壁が深く入っていれば、底面の破壊経路を延ばして安全率を上げられます。
また、掘削底面の重量を増す方法(盛り土や地盤改良)も有効です。底面の土のせん断抵抗力を高めることで、隆起を防ぐことができます。
例えば、軟弱な粘土質地盤を深く掘削するときに底面が盛り上がってきたという現場の話をよく聞きます。そういった場合は根入れを深くするか、事前に地盤改良を行うことが根本的な解決策になるわけです。
床付け地盤が凍結した場合、凍結した土はそのまま基礎地盤として使えません。
凍結した土は融解後に強度が著しく低下する(凍上現象)ためです。凍結部分を良質土と置換することが正しい対処になります。
法付けオープンカット工法は、山留め壁を設けず斜面(法面)を形成しながら掘削する工法です。
粘性土地盤でこの工法を採用するとき、斜面が円弧を描くように崩壊するリスクがあります。これを円弧すべりといいます。
粘性土では円弧すべりに対する安定計算を行い、すべりが起きないことを確認することが必要です。なんとなくイメージできましたか。
砂質土の掘削で床付け面を乱してしまった場合、そのまま放置すると基礎地盤の強度が不足します。
ローラーによる転圧で自然地盤と同程度の強度に回復させることが正しい対処です。
床付け面は基礎や基礎スラブが直接載る面なので、強度確保は特に重要です。乱した土を転圧して密度を戻すことが基本的な対応になるわけです。
ヒービングとウェルポイントの関係は、「対象地盤の種類」で整理すると覚えやすくなります。
ウェルポイント=砂質地盤の排水、ヒービング対策=粘性土の強度確保という対応を押さえておきましょう。
ヒービングとはどのような現象か、また何が原因か。
軟弱な粘性土地盤での掘削時に、掘削外側の土の重量が掘削底面の土のせん断強度を上回ることで底面が隆起する現象です。地下水位ではなく土の強度と荷重のバランスが原因です。
法付けオープンカット工法で粘性土を掘削する際に検討すべき安定の種類は何か。
円弧すべりに対する安定です。粘性土地盤では斜面が円弧状に崩壊するリスクがあるため、安定計算が必要です。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢1
ヒービングは軟弱な粘性土地盤において、掘削によって生じる土圧のアンバランスが原因で掘削底面が隆起する現象です。水が原因ではないため、地下水位を下げるウェルポイントでは防止できないわけです。