けんせつる
山留め工事って、根切りの前?後?
どっちに関係するの?
この記事の要点
山留めとは、根切り(土を掘ること)の際に周囲の土が崩れないようにする壁・支保構造のことです。掘ると同時に山留め壁が必要になるため、根切りと山留めはセットで管理します。
施工管理の確認ポイントは山留め壁の変位計測・切梁の軸力管理・根切り底の状態確認・隣接構造物の監視の4点です。ヒービングとボイリングの違いも現場でよく聞かれます。
地下躯体を造るためには土を掘らなければなりません。しかし土は掘ったそばから周囲が崩れようとします。
その崩れを防ぐのが山留め工事です。根切りが始まる前に山留め壁を設けておき、掘り進めながら支保(切梁・腹起し)を設置していく流れになります。
根切りと山留めは「同時進行で管理する工事」と覚えておくといいですね。
山留めとは、地盤を掘削するときに周囲の土が崩れ込まないよう土を止める壁・支保構造の総称です。山留め壁だけでは横からの土圧に耐えられないため、切梁(きりばり)と腹起し(はらおこし)を組み合わせて支えます。
| 工法 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 親杭横矢板工法 | H鋼(親杭)を打ち込み、掘り進めながら木製矢板を挟む | コストが低い。水密性なし(地下水位が高い場所には不向き) |
| シートパイル(鋼矢板)工法 | U形・Z形断面の鋼矢板を連続して打ち込む | 水密性あり。地下水位が高い場所に有効 |
| 地中連続壁(SMW等) | 原地盤をセメントで固めた壁、またはコンクリート壁を造る | 止水性が高く、永久壁(本体構造の一部)としても使える |
山留め壁に作用する土圧(横からの土の圧力)を受け止めるのが腹起し(山留め壁に沿って水平に設置する部材)で、その腹起しを対面の壁との間で支えるのが切梁(水平支保)です。
掘り進めるほど土圧が増すため、切梁は掘削段数に応じて複数段設置することになります。「壁を支える部材が掘り進めるたびに増えていく」とイメージするとわかりやすいですね。
山留め管理では「底が崩れる4つの現象」を押さえておくことが大事です。
軟弱な粘性土地盤で発生する現象です。根切り底面が盛り上がり(ヒービング)、山留め壁の下部に空洞が生じて崩壊につながります。
山留め壁を十分な深さまで根入れすることが対策の基本です。根入れ深さが設計通り確保されているかを施工前に確認しておくことが大切ですね。
砂質地盤で地下水が噴き上がる現象です。地下水位が根切り底面より高い場合、水圧差によって水が砂ごと噴き出してきます。
止水性の高い山留め壁やウェルポイント等の地下水低下工法が対策になります。
地下水が山留め壁の隙間や根入れ部分を通じて流れ道(水みち)を作り、土が流出する現象です。水と一緒に土が流れ出ると山留め壁背面の地盤が沈下します。
不透水層の下に被圧地下水(圧力を持った地下水)がある場合に、水圧で根切り底面が持ち上がる現象です。ヒービングは土の軟弱さによる変形、盤ぶくれは水圧による持ち上がりという点が違います。
ちなみに、ヒービングとボイリングは現場でよく混同されます。地盤の種類で区別できます。
粘性土(粘土質)ならヒービング、砂質土ならボイリング、と覚えておくと整理しやすいです。
山留め壁の安全性・支保工の設置・変位計測に関する規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の3.3.1節に示されています。
山留め工事で施工管理者が確認すべき項目を整理します。
例えば、山留め壁の変位が管理基準値に近づいてきた段階で、設計者・監理者に早めに報告しておくことが重要です。基準値を超えてから動くのでは遅い場合があります。
ザックリ言えば、山留め管理は「壁が動いていないか」「底が崩れていないか」「周りに影響が出ていないか」の3方向を同時に見る作業です。
混同しやすい用語の整理
ヒービングは粘性土(軟弱地盤)で発生する根切り底面の盛り上がり現象(土の塑性変形が原因)。ボイリングは砂質地盤で地下水が砂ごと噴き上がる現象(浸透水圧が原因)。
どちらも根切り底が崩れる現象ですが、発生する地盤の種類と原因が異なります。
盤ぶくれは不透水層の下に被圧地下水がある場合に水圧で底面が押し上げられる現象。ヒービングは土の軟弱さによる塑性変形です。
盤ぶくれは地下水の圧力、ヒービングは地盤の強度不足が主因です。
山留め工事と同章に規定される根切りの工法選定・湧水処理は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の3.2.1・3.2.2節に示されています。
砂質地盤の根切り底で地下水が砂ごと噴き上がる現象を何というか?
ボイリング。砂質地盤で地下水位が根切り底より高い場合に発生する。
止水性の高い山留め壁や地下水低下工法が対策になる。
切梁に初期緊張力を与えて山留め壁の変位を抑制する管理を何というか?
プレロード管理(切梁軸力管理)。切梁に設計で定めた初期軸力(プレロード)を与え、軸力計で定期的に確認する。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 根切りと掘削の施工管理ポイントは?を確認する
> 型枠工事の施工管理確認ポイントは?を確認する
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
施工管理のポイント
山留め壁の変位が管理基準値をわずかに超えたとき、「今日はギリギリ大丈夫だろう」と判断するのが最も危険な発想です。
基準値を超えた段階で設計者・監理者に即報告し、対応策を取るのが施工管理者の役割です。「少し超えた程度」という軽い判断が取り返しのつかない事態につながる工事でもあります。