けんせつる
スペーサーって何のためにあるの?種類は何があるの?
この記事の要点
鉄筋スペーサーは、鉄筋と型枠(またはコンクリート面)の間に挿入してかぶり厚さを確保するための部材です。スペーサーのサイズ選定は「設計かぶり厚さ」が基準で、最小かぶり厚さとは異なります。
施工管理ではスペーサーのサイズ・種類が設計図書の指定に合っているかと、コンクリート打設中に位置ずれしていないかの確認が重要です。
スペーサーは小さな部材ですが、かぶり厚さの確保という構造上・耐久性上の重要な役割を担っています。
種類と選定の考え方から、施工管理での確認ポイントまで整理しましょう。
RC造では、鉄筋の外側を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)が建築基準法・JASS 5・公共建築工事標準仕様書で定められています。
かぶり厚さが不足すると、雨水・炭酸ガスがコンクリート内部に浸入して鉄筋が腐食し、構造性能が低下するわけです。
スペーサーは鉄筋を型枠から一定の距離に保持し、コンクリート打設後も正しいかぶり厚さが確保されるようにするための間隔保持材です。
スペーサーは材質によって主に3種類あり、使用場所によって使い分けます。
| 種類 | 特徴 | 主な使用場所 |
|---|---|---|
| モルタル製 | コンクリートと同質のため耐久性が高い。コンクリート打設後も残留して問題が起きにくい | スラブ下・梁下端・耐久性が重要な部位 |
| プラスチック製 | 軽量で施工しやすい。種類が豊富で各部位に対応した形状がある | 柱・壁・スラブ(屋内) |
| スチール製(鋼製) | 強度が高い。梁側面など荷重がかかる位置に使いやすい | 梁側面・高強度が必要な部位 |
ザックリ言えば、「耐久性優先の部位はモルタル製、施工効率優先の屋内部位はプラスチック製、強度優先はスチール製」という選び方が基本です。
ただし、設計図書・施工計画書に材質の指定がある場合はそれに従います。特に外壁面や水まわりでは材質の耐久性が重要になります。
ここは混乱しやすいところですね。スペーサーのサイズは「設計かぶり厚さ」に合わせて選定します。
設計かぶり厚さとは、JASS 5・建築基準法施行令が定める最小かぶり厚さに施工誤差を見込んで余裕を加えた値です。
例えば、最小かぶり厚さが20mmの部位でも、施工誤差(±10mm程度)を見込んで設計かぶり厚さを30mmに設定することがあります。
スペーサーは「設計かぶり厚さ」に対応したサイズを使います。「最小かぶり厚さ」と間違えると不足になる可能性があるわけです。
具体的なサイズは設計図書の配筋図・特記仕様書に記載されているため、必ずそれを確認します。
スペーサーの配置間隔は、設計図書・配筋標準図の指示に従います。
JASS 5 では「鉄筋のかぶり厚さが確保できるよう適切な位置に配置する」と規定しており、部位・鉄筋径・コンクリートの流れ方によって必要な個数が変わります。
スペーサーの問題が最も起きやすいのが、コンクリート打設中です。
振動機(バイブレータ)の影響でスペーサーが動いたり、コンクリートの流れで鉄筋が移動したりすることがあります。
例えば、スラブで鉄筋を直接地面に置いてコンクリートを打設すると、かぶり厚さがゼロになります。
こうした「スペーサーを置かなかった」「スペーサーが打設中にずれた」という不具合は、コンクリートを打設した後では見えないため、打設前・打設中の管理が唯一の防止手段になるわけです。
混同しやすい用語の整理
スペーサーは鉄筋とコンクリート面の距離(かぶり厚さ)を確保する部材。セパレーターは向かい合う型枠の間隔(コンクリート断面幅)を保持する棒状部材。どちらも「間隔を保つ」部材だが対象が違う。
最小かぶり厚さはJASS 5・建築基準法施行令が定める下限値。設計かぶり厚さは施工誤差を見込んで最小値に余裕を加えた設計上の値。スペーサーのサイズ選定の基準は「設計かぶり厚さ」。
スペーサーのサイズ選定の基準となるのは最小かぶり厚さか設計かぶり厚さか?
設計かぶり厚さ。最小かぶり厚さはJASS 5・建築基準法施行令が定める下限値で、設計かぶり厚さは施工誤差の余裕を加えた設計上の値。スペーサーは設計かぶり厚さに合わせたサイズを使用する。
モルタル製スペーサーとプラスチック製スペーサーの使い分けの基本的な考え方は何か?
耐久性優先の部位(外壁面・水まわり・スラブ下端など)はモルタル製、施工効率優先の屋内部位はプラスチック製。設計図書に材質指定がある場合はそれに従う。
コンクリート打設中にスペーサーが位置ずれするリスクを防ぐための施工上の対策は何か?
スペーサーを結束線で鉄筋に固定する。また、バイブレータをスペーサーに直接当てないよう挿入位置を管理する。
スペーサーとセパレーターの違いは何か?
スペーサーは鉄筋とコンクリート面の距離(かぶり厚さ)を確保する部材。セパレーターは型枠の両面間の間隔(コンクリート断面幅)を保持する棒状部材。
打設前にスペーサー設置状況の写真記録を残す目的は何か?
コンクリート打設後はかぶり厚さが目視確認できなくなるため。打設前の写真が設計通りのかぶり確保の品質証明となる。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> かぶり厚さとは?基準値と施工管理を確認する
> 鉄筋工事では何を確認する?を確認する
参考資料
・JASS 5 鉄筋コンクリート工事(日本建築学会)
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 第5章 鉄筋工事」
・建築基準法施行令第79条(鉄筋のかぶり厚さ)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
スペーサー管理で現場で起きることがあるのが「最小かぶり厚さと設計かぶり厚さを混同してスペーサーのサイズが小さすぎる」問題です。
設計かぶり厚さは設計図書に書いてあるはずですが、「JASS 5の最小値だから大丈夫」という思い込みで小さいサイズを使ってしまうケースがあります。図面の確認が最初のステップです。
もう一つは「スペーサーを結束線で固定していなかった」問題です。
特にスラブの下端筋は打設時に浮き上がりやすく、コンクリートが入るとかぶり厚さが確保できなくなります。少し手間でも結束固定する習慣が大切です。