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令和5年度(後期)2級建築施工管理技士 No.21を解説、高力ボルト接合

けんせつる

けんせつる

高力ボルトの首下長さって、どこからどこまでの長さを言うんだっけ。

この記事の要点

令和5年度(後期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.21は、高力ボルト接合に関する問題です。正解は選択肢3。首下長さの足し方が逆になっているからです。

令和5年度(後期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.21は、高力ボルト接合に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

正解:選択肢3

JIS形高力ボルトの首下長さは、締付け長さにナットと座金とねじの余長を見込んだ寸法表で決まるんです。選択肢3は「ナットと座金の高さを加えた寸法」とだけ言っていて、ねじ山の余りを無視している点が一番危ない考え方ですね。現場では首下長さの選定をボルトメーカーの寸法表に任せがちですが、考え方を押さえておきましょう。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) トルシア形の本締めはピンテールが破断するまで締め付ける
2 ○(正しい) 座金は面取り部がナットに接する向きで取り付ける
3 ×(誤り) 首下長さは締付け長さにねじの余長も見込む。座金とナットの高さだけでは足りない
4 ○(正しい) フィラープレートの両面に摩擦面処理を行う

選択肢3は、首下長さを座金とナットの高さだけで決められるとした点が誤りで、実際には余長を含む寸法表で選びます。

この問題のポイント

この問題では、高力ボルトの締め方と部材の使い方が問われています。

特に首下長さの考え方は混乱しやすいところですね。

首下長さとは、ボルトの頭のすぐ下からねじの先端までの長さです。これが短いと、最後までナットが締まりきりません。

だから締め付ける材の厚み(締付け長さ)に加えて、ナットや座金の高さ、さらにねじ山の余りまで見込む必要があるわけです。

選択肢1

選択肢1はトルシア形高力ボルトの本締めについての記述です。

トルシア形は、先端にピンテールという突起が付いています。専用工具で締めていくと、規定のトルクに達した時点でこのピンテールが破断します。

つまりピンテールが切れるまで締めるのが正しい手順なので、この記述は適当です。

選択肢2

選択肢2は座金の向きについての記述です。

座金には、内側に面取り(角を落とした部分)がある面とない面があります。面取り部はナット側に向けて取り付けるのが決まりなんです。

記述のとおりナットに接するように取り付けているので、この記述は適当です。

選択肢3

これが誤りを含む選択肢です。JIS形高力ボルトの首下長さを「締付け長さにナットと座金の高さを加えた寸法」としています。

確かにナットと座金の高さは加える必要があります。しかしそれだけでは、ねじが完全に締まりきるための余りが足りません。

なぜかというと、ナットを締め込んでもボルト先端が少し飛び出すように、ねじ部の余長を見込むからです。実際の首下長さは、これらをすべて含んだ寸法表から選びます。

必要な余長を無視している点で、選択肢3は不適当ということです。

選択肢4

選択肢4はフィラープレートについての記述です。

フィラープレートは、板厚の差を埋めるために挟む板です。摩擦接合では、すべての接触面で摩擦力を確保する必要があります。

そのため、フィラープレートの両面にも摩擦面処理を行うのが正しいわけです。記述のとおりなので適当ですね。

覚え方

首下長さは、「締める材の厚み+部品の高さ+ねじの余り」という3点セットで決まると整理しておきましょう。

座金とナットの高さだけで止めると、ねじの余りが抜け落ちて締まりきりません。

首下長さ=締付け長さ+ナット・座金の高さ+ねじの余長とセットで覚えると、選択肢3のような言い切りに引っかからなくなるでしょう。

一問一答

Q.

トルシア形高力ボルトの本締めは、何が起きるまで締め付けるか。

ピンテールが破断するまで締め付けます。破断で規定トルクに達したことが分かります。

Q.

板厚の差を埋めるために挟む板を何というか。

フィラープレートです。摩擦接合では両面に摩擦面処理を行います。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和5年度(後期)2級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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