けんせつる
乾式工法って地震に強いんだっけ、それとも追従しにくいんだっけ。どっちだ。
この記事の要点
令和7年度(後期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.40は、外壁張り石工事の乾式工法に関する問題です。正解は選択肢3。乾式工法は地震時の躯体変形に追従しやすいからです。
令和7年度(後期)2級建築施工管理技士 第一次検定 No.40は、外壁の張り石工事で、湿式工法と比較した乾式工法の特徴に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題は能力問題で、5つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 石材の表面に衝撃が加わると破損しやすい |
| 2 | ○(正しい) | 裏にモルタルを充填しないため凍結による被害を受けにくい |
| 3 | ×(誤り) | ファスナーで保持するため、地震時の躯体の挙動に追従しやすい。追従しにくいは誤り |
| 4 | ○(正しい) | モルタルを使わないためエフロレッセンス(白華現象)が起こりにくい |
| 5 | ○(正しい) | ファスナーの遊びで石材の熱変形を吸収できる |
選択肢3は、乾式工法を地震時の躯体の挙動に追従しにくいとしている点が誤りです。実際はファスナー保持のため追従しやすい工法です。
この問題では、外壁張り石の乾式工法と湿式工法の違いを整理できているかが問われています。
湿式工法は、石材の裏側に裏込めモルタルを充填して躯体と一体化させる工法です。がっちり固まる反面、躯体の変形にそのまま付き合うことになります。
一方の乾式工法は、ファスナー(金物)で石材を一枚ずつ躯体に留め付け、裏にモルタルを入れません。
ザックリ言えば、湿式は「塗り固める」、乾式は「金物で吊る」ということです。金物で留める乾式は、石材どうしが独立して少し動けるので、地震や熱による変形を逃がしやすいわけです。
選択肢1は衝撃による破損についての記述です。
乾式工法は裏にモルタルがなく、石材とファスナーで支えています。裏側に詰め物がない分、表面に強い衝撃が加わると石材が割れやすい面があります。
裏込めのある湿式と比べると衝撃に弱いので、この記述は適当です。
選択肢2は凍結による被害についての記述です。
湿式工法は裏込めモルタルが水を含むため、寒冷地では凍結と融解を繰り返して石材を押し上げ、はく離の原因になります。
乾式工法は裏にモルタルを充填しないので、この凍害を受けにくいんです。記述は適当です。
これが誤りを含む選択肢です。「地震時の躯体の挙動に追従しにくい」とありますが、向きが逆になっています。
乾式工法はファスナーで石材を一枚ずつ留めるため、地震で躯体が変形しても各石材が動いて変位を逃がせます。つまり追従しやすいんです。
むしろ躯体と一体化する湿式工法のほうが、変形にそのまま付き合うので追従性は低くなります。ここは混乱しやすいところですね。
乾式の長所を逆に書いているため、選択肢3は不適当ということです。
選択肢4はエフロレッセンス(白華現象)についての記述です。
白華現象は、モルタル中の成分が水に溶けて表面に染み出し、白く固まる現象です。湿式工法では裏込めモルタルが原因で起こりやすいんです。
乾式工法はモルタルを使わないので、白華現象が起こりにくくなります。記述は適当です。
選択肢5は石材の熱変形についての記述です。
石材は気温の変化で伸び縮みします。乾式工法はファスナーの取付け部に遊び(クリアランス)を持たせているため、この熱による伸縮を吸収できるんです。
がっちり固める湿式と違い、動きを許容できるので、この記述は適当です。
乾式工法は「金物で吊って、各石材が少し動ける」とイメージすると間違えにくくなります。
動けるからこそ、地震の変形にも熱の伸縮にも追従できるわけです。
正解:選択肢3。乾式はファスナー保持で各石材が動けるから、地震時の躯体変形に追従しやすいとセットで覚えると、追従しやすい・しにくいの取り違えに引っかからなくなるでしょう。
外壁張り石の乾式工法は、地震時の躯体の挙動に追従しやすいか、しにくいか。
追従しやすいです。ファスナーで石材を保持するため変形を逃がせます。
乾式工法でエフロレッセンス(白華現象)が起こりにくいのはなぜか。
裏込めモルタルを使わないためです。白華の原因となる成分が染み出しません。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢3
乾式工法はファスナーで石材を一枚ずつ躯体に留めるので、地震で躯体が変形しても各石材が動いて逃がせるんです。だから湿式よりむしろ追従しやすい。「乾式は追従しにくい」と勘違いしがちですが、向きが逆だと押さえておきましょうね。