けんせつる
幅厚比が大きくなると局部座屈って起きやすくなるの?起きにくくなるの?
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.3は、鉄骨構造に関する問題です。正解は選択肢2。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.3は、鉄骨構造に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 高力ボルト摩擦接合はボルト孔周辺の応力集中が小さく、普通ボルト接合のほうが応力集中の度合いは大きい |
| 2 | ×(誤り) | 幅厚比が大きくなると局部座屈を生じやすくなる(生じにくいは誤り) |
| 3 | ○(正しい) | 内ダイアフラムはせいの異なる梁を同一箇所に取り付ける場合等に用いられる |
| 4 | ○(正しい) | スカラップは溶接線の交差による割れや材質劣化を防ぐために設ける扇状の切り欠き |
選択肢2の「生じにくい」という記述が誤りで、正しくは幅厚比が大きくなると局部座屈を生じやすくなります。
高力ボルト摩擦接合と普通ボルト接合の応力集中の違いを問うています。
高力ボルト摩擦接合は、ボルトを強く締め付けることで接合面に生まれる摩擦力によって力を伝える方式です。ボルト孔には引張力がほぼ伝わらないため、孔周辺への応力集中は小さくなります。
普通ボルト接合は、ボルト軸部がせん断されることで力を伝えます。ボルト孔の端部に力が集中するため、孔周辺の応力集中は大きくなります。例えば、同じ断面積の鋼板に引張力をかけた場合、普通ボルト接合のほうが孔の周りに応力が集中しやすいわけです。
これが誤りを含む選択肢です。H形鋼の板要素の幅厚比が変わったとき、局部座屈への影響がどちらの方向に動くかが問われています。
見るべきポイントは「幅厚比とはどういう値か」ということです。
幅厚比とは、板要素の幅(フランジ幅やウェブ高さ)を厚みで割った値です。同じ幅でも薄ければ幅厚比は大きくなります。
薄い板は圧縮力がかかると面外に曲がりやすくなります。これが局部座屈です。幅厚比が大きいということは相対的に薄い板要素ということなので、局部座屈は起きやすくなるわけです。「生じにくい」という記述は誤りで、正しくは幅厚比が大きくなると局部座屈を生じやすくなります。
日本建築学会の鋼構造設計基準でも、局部座屈を防ぐために幅厚比の上限値が規定されています。幅厚比が制限値以下であることが、設計上の前提になっているということですね。
角形鋼管柱に梁を取り付けるとき、柱の外周には梁フランジからの力が伝わります。この力を柱断面の内部に伝えるためにダイアフラムが使われます。
内ダイアフラムは、角形鋼管の内側に溶接で設ける水平補強板です。梁フランジの位置に合わせて設けることで、梁からの力を柱断面全体に分散させます。
せいの異なる梁を柱の同一箇所に取り付ける場合、梁フランジの高さ位置がずれます。このようなケースで内ダイアフラムを組み合わせて対応することができるということです。
柱梁仕口部のスカラップは、梁ウェブに設ける扇状の切り欠きです。なぜわざわざ材料を切り取るのでしょうか。
梁フランジと梁ウェブが交わる部分には、フランジの溶接線とウェブの溶接線が交差する箇所が生まれます。溶接線が交差すると、熱影響が重なって割れや材質劣化が起きやすくなります。
スカラップを設けることで溶接線の交差を避け、フランジの溶接を連続して施工できるようになります。溶接品質の確保と欠陥防止のために不可欠な納まりなんです。
幅厚比と局部座屈の関係は、「薄い板は曲がりやすい」という感覚でつなぐと整理しやすくなります。
幅厚比が大きい=板が薄い(相対的に)、薄い板は圧縮で面外に逃げやすい、面外に逃げるのが局部座屈です。
幅厚比が大きい → 板が薄い → 面外変形しやすい → 局部座屈を生じやすいという順番でつなぐと、選択肢2の「生じにくい」がどう間違っているかがはっきり見えてきます。
H形鋼のフランジやウェブの幅厚比が大きくなると、局部座屈は生じやすくなるか、生じにくくなるか。
生じやすくなります。幅厚比が大きいほど板要素が相対的に薄くなり、圧縮力による面外変形(局部座屈)が起きやすくなるためです。
高力ボルト摩擦接合と普通ボルト接合で、ボルト孔周辺の応力集中が大きいのはどちらか。
普通ボルト接合のほうが大きくなります。高力ボルト摩擦接合は摩擦力で力を伝えるためボルト孔への力の集中が小さく、普通ボルト接合はボルト軸部のせん断で力を伝えるため孔周辺に応力が集中します。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢2
H形鋼のフランジやウェブの幅厚比が大きくなると、板要素が薄くなって変形しやすくなるため、局部座屈を生じやすくなります。「生じにくい」とした部分が誤りです。