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令和7年度 1級建築施工管理技士 No.62を解説、建築基準法違反に対する工事停止命令を出せるのは建築主事ではなく特定行政庁

けんせつる

けんせつる

建築基準法違反の現場に対して、工事を止める命令を出せるのは誰なの?

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.62は、建築基準法に関する問題です。正解は選択肢3。建築基準法違反に対する工事停止命令を出す権限を持つのは特定行政庁(都道府県知事や市区町村長)であり、建築主事にはその権限がありません。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.62は、「建築基準法」上の規定に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、4つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。

正解:選択肢3

建築基準法違反に対して工事の施工停止を命じる権限があるのは特定行政庁です。建築主事は確認申請の審査を担う職で、工事停止命令のような行政処分を行う権限は持っていません。建築主事と特定行政庁の権限を混同しやすいところなので、ここで整理しておきましょう。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 重要文化財として指定された建築物には建築基準法の規定を適用しない旨が明文で定められている
2 ○(正しい) 既存不適格建築物については、規定の適用を受けない旨が定められている(いわゆる「既存不適格」の規定)
3 ×(誤り) 工事停止命令を出す権限があるのは特定行政庁であり、建築主事には工事停止命令を発する権限はない
4 ○(正しい) 特定行政庁が指定する建築物の所有者・管理者による定期調査・報告の義務が定められている

選択肢3の「建築主事は工事の施工の停止を命じることができる」という記述が誤りです。その権限は特定行政庁が持つものです。

この問題のポイント

この問題では、建築基準法における「特定行政庁」と「建築主事」それぞれの役割と権限を区別できているかが問われています。

整理しておくべきポイントは「誰がどの権限を持つか」ということです。

特定行政庁は都道府県知事や市区町村長のことで、建築基準法に基づく行政処分(工事停止命令・違反建築物の是正命令など)を発する権限を持っています。

建築主事は特定行政庁の下に置かれる職員で、建築確認申請の審査・確認済証の交付が主な役割です。行政処分を単独で行う権限は与えられていないわけです。

選択肢1

建築基準法第3条第1項では、文化財保護法の規定によって重要文化財等に指定または仮指定された建築物については、同法の規定を適用しない旨が定められています。

重要文化財は歴史的・文化的価値の保存が最優先であり、現代の建築基準をそのまま当てはめることになじまないケースがあるためです。例えば、古民家や社寺建築に現代の耐火基準を一律に適用することは文化財保護の観点と矛盾するということです。

選択肢2

建築基準法第3条第2項に、いわゆる「既存不適格」の規定があります。

法令の改正等によって現に存する建築物が新しい規定に適合しなくなった場合、その建築物に対しては変更後の規定を適用しないというものです。

ザックリ言えば、建てたときは合法だったものを改正後に遡って違法扱いにはしない、ということです。ただし増築・大規模修繕を行う際には適法化が求められる場合があります。

選択肢3

ここが誤りを含む選択肢です。「建築主事は、建築基準法令の規定に違反した建築物に関する工事の請負人に対して、当該工事の施工の停止を命じることができる」という記述です。

工事停止命令は建築基準法第9条に定める行政処分であり、これを発する権限を持つのは特定行政庁です。建築主事に工事停止命令を発する権限はありません

建築主事の主な役割は確認申請の審査であり、行政処分という強制力を持つ行為は特定行政庁の権限事項なんです。

選択肢4

建築物の定期調査・報告制度については、建築基準法第12条に規定があります。

特定行政庁が指定する建築物(一定規模以上の特殊建築物等)の所有者または管理者は、定期的に建築物調査員にその状況を調査させ、結果を特定行政庁に報告しなければなりません。

例えば、ホテルや百貨店のような不特定多数の人が利用する建築物では、老朽化や設備の不具合を定期的に確認させることで安全性を担保するわけです。この記述は正しいということです。

覚え方

特定行政庁と建築主事の違いは、「行政処分を出せるか」で覚えると整理しやすくなります。

工事停止命令・是正命令・使用禁止命令など、相手に強制力を持って何かをさせる権限は特定行政庁の専権です。建築主事は「審査して確認済証を出す」役割と覚えておきましょう。

命令・処分は特定行政庁、審査・確認は建築主事という対比で頭に入れると、どんな問われ方をされても迷わなくなるはずです。

一問一答

Q.

建築基準法令の規定に違反した建築物に関する工事の施工停止命令を出すことができるのは誰か。

特定行政庁(都道府県知事や市区町村長)です。建築主事には工事停止命令を発する権限はなく、確認申請の審査が主な役割です。

Q.

既存不適格建築物とはどのような状態の建築物か。

建築当時は適法であったが、その後の法令改正等によって現行の規定に適合しなくなった建築物のことです。建築基準法第3条第2項により、変更後の規定の適用が除外されます。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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