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令和7年度 1級建築施工管理技士 No.53を解説、ドリフトピンの下孔径はピン径と同じかわずかに小さくする

けんせつる

けんせつる

ドリフトピンの下孔径は、ピン径より大きくする?それとも同じか小さくする?

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.53は、大断面集成材を用いた木造軸組構法に関する応用能力問題(5択)です。正解は選択肢4。ドリフトピンは木材に圧入して使用するため、下孔径はピンの公称軸径と同じかわずかに小さい径にする必要があります。「公称軸径+2mm」では緩すぎて接合強度が確保できません。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.53は、大断面集成材を用いた木造軸組構法に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、5つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

正解:選択肢4

ドリフトピンは木材に圧入して使用する接合具です。下孔径をピン径より大きくしてしまうと、ピンがぐらついて抜けやすくなり、接合強度を発揮できなくなります。下孔径は公称軸径と同じかわずかに小さい径にするのが正しい施工方法です。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 柱(長さ4m)の材長許容誤差は±3mm。正しい規定値
2 ○(正しい) 梁(通直材)の曲がり許容誤差は長さ1m当たり1mm。正しい規定値
3 ○(正しい) ボルト孔の間隔ずれの許容誤差は±2mm。正しい規定値
4 ×(誤り) ドリフトピンの下孔径は公称軸径と同じかわずかに小さくする。「+2mm」は過大で不適当
5 ○(正しい) 接合金物のボルト孔径は、M16の場合、公称軸径に1.5mmを加えた径。正しい規定値

選択肢4の「公称軸径に2mmを加えた径」という記述が誤りです。ドリフトピンの下孔径は公称軸径と同じかわずかに小さい径にする必要があります。

この問題のポイント

ドリフトピンとは、集成材の接合部に使われる丸鋼のピン状の接合具です。

木材に設けた下孔に打ち込んで固定するため、圧入による摩擦力が接合強度の源になっています。

ここが最大のポイントですね。ボルト接合と混同しやすいのですが、ボルトは孔に余裕を設けてナットで締め付けるのに対し、ドリフトピンは孔に圧入してがっちり固定する方式です。

下孔径をピン径より大きくしてしまうと、ピンが孔の中でぐらつき、接合部に隙間が生じます。荷重がかかったときにピンが抜けたり動いたりして、所定の接合強度を発揮できなくなるわけです。

ザックリ言えば、「締め代があるから圧入になる。余裕を持たせたら圧入にならない」ということです。

選択肢1

構造用集成材の材長(長さ)の許容誤差について確認しましょう。

集成材の寸法許容差はJAS(日本農林規格)に規定されています。材長の許容誤差は、長さに応じて定められています。

柱として用いる材長が4mの場合、許容誤差は±3mmです。現場で実際に集成材柱を受け入れるとき、この数値で合否を判断することになります。

選択肢2

梁として用いる構造用集成材の曲がり(反り)の許容誤差についての問いです。

通直材(真っすぐを意図した部材)の曲がりの許容誤差は、長さ1m当たり1mmと規定されています。

例えば長さ6mの梁であれば、許容される曲がりは最大で6mmということです。実際の梁材を受け入れる際には、この基準に照らして判断するわけです。

選択肢3

ボルト孔の間隔ずれとは、設計図に示された孔の位置と、実際に加工された孔の位置のズレのことです。

複数の孔の間隔が設計値からずれると、組み立て時に孔が合わなくなる問題が生じます。

標準的なボルト孔の間隔ずれの許容誤差は±2mmです。これはボルト孔に限った話で、後述するドリフトピンの下孔径の話とは別に考える必要があります。ここは混乱しやすいところですね。

選択肢4

これが誤りを含む選択肢です。ドリフトピンの下孔径として「公称軸径に2mmを加えた径」とされていますが、これは不適当です。

ドリフトピンは圧入して使用する接合具です。下孔径は公称軸径と同じかわずかに小さい径にする必要があります。

「+2mm」の余裕を設けてしまうと、ピンを打ち込んでも圧入状態にならず、ピンがぐらついて抜けやすくなります。接合部の剛性と強度が大幅に低下するため、構造上の問題につながります。

なお、ボルト接合の場合はボルトをスムーズに通すために孔に余裕を設けますが、ドリフトピンは真逆の発想です。この違いを押さえておくと混同しにくくなるわけです。

現場でのポイント

ドリフトピンの下孔が大きすぎることは、集成材の接合検査でよく見逃されます。組み上がった後では確認しにくいため、孔加工の段階でドリルのサイズをきちんと確認するのが大断面木造の施工管理で重要な習慣です。

選択肢5

接合金物に設けるボルト孔の径についての問いです。こちらはドリフトピンとは違い、ボルトをスムーズに通すために孔径は公称軸径より若干大きくします。

ねじの呼びがM16の場合、ボルトの公称軸径は16mmです。ボルト孔の径は公称軸径に1.5mmを加えた17.5mmとなります。

1.5mmの余裕は、取り付け誤差を吸収しつつボルトをスムーズに挿入するために設けるものです。大きすぎると接合部の精度が下がるため、この数値が規定されています。

覚え方

この問題の核心は「圧入か、貫通か」という発想の違いです。

ドリフトピンは打ち込んで圧入するもの。だから孔はピン径と同じかわずかに小さい。

ボルトは通してナットで締めるもの。だから孔にはわずかな余裕が必要。

ドリフトピン → 圧入 → 下孔はピン径と同じかわずかに小さくという順番で押さえておくと、本番でも迷わなくなります。

一問一答

Q.

集成材接合に用いるドリフトピンの下孔径は、公称軸径に対してどのように設定するか。

公称軸径と同じかわずかに小さい径にします。ドリフトピンは圧入して使用するため、孔が大きすぎると接合強度が確保できなくなります。

Q.

接合金物のボルト孔径は、M16の場合いくらか。

公称軸径16mmに1.5mmを加えた17.5mmです。ボルトをスムーズに通すための余裕として設けます。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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