ゼロから学ぶ建築施工管理

  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 1級建築施工管理技士
  4. 令和7年
  5. > No.51 型枠の設計

令和7年度 1級建築施工管理技士 No.51を解説、支保工以外の材料の許容応力度は長期・短期の平均値ではなく短期許容応力度

けんせつる

けんせつる

型枠設計で使う許容応力度って、長期と短期のどっちを使うの?

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.51は、型枠の設計に関する応用能力問題(5択)です。正解は選択肢1。型枠の支保工以外の材料の許容応力度には短期許容応力度を用います。長期と短期の平均値を使う規定はありません。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.51は、型枠の設計に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題は応用能力問題(5択)です。5つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

正解:選択肢1

型枠は仮設構造物であり、コンクリート打込み時という短期荷重が支配的な状況で使用されます。そのため許容応力度には短期許容応力度を用いるのが原則です。「長期と短期の平均値」を使うと、短期許容応力度より大きな値になり、安全側の設計にならない場合が生じます。「平均値」という表現が誤りの核心です。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ×(誤り) 支保工以外の材料の許容応力度は短期許容応力度(長期・短期の平均値は誤り)
2 ○(正しい) 側圧に対するせき板の許容たわみは5mm
3 ○(正しい) パイプサポート使用時の支保工上端に作用する水平荷重は鉛直荷重の5%
4 ○(正しい) ポンプ工法の鉛直荷重は固定荷重に作業荷重と衝撃荷重を加えたもの
5 ○(正しい) 大引のたわみは単純支持と両端固定で計算した値の平均値

選択肢1の「長期許容応力度と短期許容応力度の平均値」という記述が誤りで、型枠の設計では短期許容応力度を用います。

この問題のポイント

型枠設計では、仮設構造物としての特性を踏まえた許容応力度の考え方が問われています。ここは混乱しやすいところですね。

建築の本設構造物では、常時作用する長期荷重に対して長期許容応力度を使い、地震や風などの短期荷重に対して短期許容応力度を使います。

型枠に対してはどうかというと、コンクリートの打込み時という短期的かつ集中的な荷重状態が設計の主たる条件になります。そのため型枠の設計では短期許容応力度を基準とするわけです。

「平均値」という言い方は一見もっともらしく見えますが、長期許容応力度より大きく短期許容応力度より小さい中間値ではなく、実際には短期許容応力度を基準とする点が重要です。

選択肢1

これが誤りを含む選択肢です。型枠の材料の許容応力度について確認しましょう。

型枠は、コンクリートが固まるまでの間だけ使う仮設構造物です。打込み時には大きな側圧や鉛直荷重が一時的にかかります。

このような短期荷重が支配的な仮設構造物では、許容応力度の基準として短期許容応力度を使います。長期許容応力度と短期許容応力度の平均値を用いる規定はありません。

平均値とする」という記述が誤りで、正しくは短期許容応力度を用いるということです。

選択肢2

コンクリート打込み時の側圧に対するせき板の許容たわみについてです。

せき板の許容たわみは5mmと定められています。打込み後のコンクリート面の仕上がりに直接影響するため、たわみ量に上限が設けられているわけです。

例えば、せき板が大きくたわむと打込み後の壁面に凹凸が生じ、仕上げ工事に影響が出ます。5mmという数値は仕上げ品質を確保するための基準値として適切です。

選択肢3

パイプサポートを支保工とするスラブ型枠の場合の水平荷重についてです。

打込み時に支保工の上端に作用する水平荷重は、鉛直荷重の5%として計画します。

水平荷重の考慮は、作業員の移動や打込み時の衝撃など、実際に水平方向の力が加わることへの対応です。5%という値は、支保工の座屈や転倒を防ぐために必要な水平力として設定されているわけです。

選択肢4

ポンプ工法によるコンクリート打込み時の鉛直荷重の構成についてです。

ポンプ工法の場合、型枠に作用する鉛直荷重は固定荷重に作業荷重と衝撃荷重を加えたものになります。

固定荷重はコンクリート自重と型枠自重、作業荷重は作業員・器具の重量、衝撃荷重はポンプによる圧送の脈動による荷重増加分です。ポンプ工法は圧送による打込みのため、衝撃荷重の考慮が特に重要になるわけです。

選択肢5

大引のたわみ計算における支持条件についてです。

大引のたわみは、単純支持で計算した値と両端固定で計算した値の平均値を使います。

実際の大引は、単純支持(端部が回転自由)でも両端固定(端部が固定)でもなく、その中間的な条件で支持されています。そのため両極端の条件で計算した値の平均値で評価するという合理的な方法が採用されているわけです。

覚え方

型枠の許容応力度と大引のたわみ計算は、どちらも「平均値」という表現が出てきますが、適用される場面が違います。

大引のたわみは「単純支持と両端固定の平均値」を使います(選択肢5は正しい)。一方、許容応力度については「長期と短期の平均値」を使うという規定はなく、短期許容応力度を使います(選択肢1が誤り)。

たわみ→平均値OK、許容応力度→短期のみ(平均値NG)とセットで覚えると、どちらの「平均値」が正しくてどちらが誤りかを整理しやすくなります。

一問一答

Q.

型枠の支保工以外の材料の設計に使う許容応力度は、長期と短期のどちらか。または平均値か。

短期許容応力度を用います。長期許容応力度との平均値を使う規定はありません。型枠は短期荷重が支配的な仮設構造物だからです。

Q.

型枠のせき板において、コンクリート打込み時の側圧に対する許容たわみは何mmか。

5mmです。仕上がり面の品質確保のために上限が設定されています。

令和7年 1級建築施工管理技士 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

▼令和7年 1級建築施工管理技士▼

▼他の年度▼

▼他の試験▼

▼カテゴリ一覧▼

Topへ >>