けんせつる
フープ筋のコーナー折曲げ、「2倍」か「4倍」か。耐震補強だからこそ、基準値を正確に押さえておく必要があります。
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.30は、鉄筋コンクリート構造の耐震改修・柱補強工事に関する問題です。正解は選択肢2。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.30は、鉄筋コンクリート構造の耐震改修における柱補強工事に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 角形鋼板巻き工法のコーナー部は内法半径を板厚の3倍とする |
| 2 | ×(誤り) | フープ筋折曲げ内法直径は呼び名の4倍以上が必要(2倍は不足) |
| 3 | ○(正しい) | 打継面となる柱外周面の目荒しは面積の30%程度を均等に行う |
| 4 | ○(正しい) | 炭素繊維シート工法の水平方向重ね継手は各面に分散し200mm以上とする |
選択肢2の「フープ筋のコーナー部の折曲げ内法直径を呼び名の2倍とした」という記述が誤りです。
角形の鋼板巻き工法では、四角い柱に鋼板を巻き付けて補強します。コーナー部は鋼板を折り曲げて納めることになりますが、ここで急に折り曲げると鋼板に亀裂が入るリスクがあります。
そのため、コーナー部の曲げ加工では内法半径を板厚の3倍とすることが定められています。
例えば板厚9mmの鋼板なら、コーナーの内法半径は27mm以上になるわけです。この記述は正しい内容です。
これが誤りを含む選択肢です。溶接閉鎖フープ巻き工法は、既存の柱に帯筋を巻いてコンクリートを増し打ちし、柱の靭性(粘り強さ)を高める耐震補強工法です。
フープ筋がコーナーで急角度に折り曲げられていると、地震時に引張力が作用したときに折曲げ部が折損しやすくなります。
ザックリ言えば、緩やかに曲げるほどフープ筋は折れにくくなる、ということです。
JASS5の規定では、耐震フープ筋のコーナー部の折曲げ内法直径の最小値は、フープ筋の呼び名の数値の4倍以上とされています。例えばD13のフープ筋なら、折曲げ内法直径は52mm(13×4)以上が必要なわけです。「呼び名の2倍とした」という記述は、この基準を下回るため誤りです。
現場での確認ポイント
「2倍でもいいのでは」と思いがちですが、耐震補強工事では地震時の大変形を想定するため、通常の配筋より厳しい基準が設けられています。既存建物の補強だからこそ、数値の根拠を確認することが大切なわけです。
溶接閉鎖フープ巻き工法では、既存柱の外周面に新しいコンクリートを打ち継ぎます。この打継面の付着力を高めるために目荒しを行います。
ここは混乱しやすいところですね。目荒しは「多いほど良い」ではなく、面積の30%程度を均等にというのが適切な施工基準です。
全面を一様に削ると既存コンクリートを傷める可能性があり、また均等でない目荒しは付着むらを生じます。30%程度・均等分散という条件が重要なわけです。
連続繊維補強工法(炭素繊維シート工法)は、柱に炭素繊維シートを巻き付けて拘束力を高め、靭性を向上させる工法です。
シートの水平方向の重ね継手に関して、2つの管理ポイントがあります。
一つ目は継手位置を柱の各面に分散させること。同じ位置に継手を集中させると、その面の拘束効果が弱くなります。
もう一つは重ね長さを200mm以上とすること。この重ね長さが不足すると、シートが剥離して補強効果が発揮されません。
この記述は正しい内容なわけです。
フープ筋の折曲げ内法直径は「倍数」で覚えます。
耐震フープのコーナー折曲げ内法直径 = 呼び名の4倍以上という数字を、そのまま頭に入れておきましょう。「2倍」「3倍」という中途半端な数字が出てきたら要注意です。
溶接閉鎖フープ巻き工法で、フープ筋コーナー部の折曲げ内法直径の最小値はフープ筋の呼び名の何倍か。
4倍以上です。例えばD13のフープ筋では、折曲げ内法直径は52mm以上が必要です。
溶接閉鎖フープ巻き工法において、打継面となる柱外周面の目荒しはどの程度行うか。
面積の30%程度を均等に目荒しします。均等分散であることが重要で、全面削りは不要です。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢2
溶接閉鎖フープ巻き工法において、フープ筋コーナー部の折曲げ内法直径の最小値は、フープ筋の呼び名の数値の4倍以上が必要です。「2倍」では基準を大きく下回り、フープ筋の拘束効果が適切に発揮されません。