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令和7年度 1級建築施工管理技士 No.12を解説、断面と端部条件で決まる座屈荷重の大小関係

けんせつる

けんせつる

断面が同じ柱でも、両端の固定具合が違うと座屈しやすさが変わる。では何が決め手になるんでしょうか。

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.12は、断面と端部条件が異なる長柱A・B・Cの座屈荷重を比較する問題です。正解は選択肢4(A=C<B)。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.12は、中心圧縮力を受ける長柱の座屈荷重の大小関係を問う問題です。

問題文と図は、建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

柱A・B・Cはそれぞれ断面形状と端部条件(固定・ピン・自由の組み合わせ)が図中に示されており、材質は共通です。

正解:選択肢4

A=C<B が正解です。BはAやCに比べて有効座屈長さが短くなる(または断面2次モーメントが大きい)条件のため、座屈荷重が大きくなります。座屈荷重はオイラーの式 Pe = π²EI/(kl)² で決まり、有効座屈長さ kl が短いほど座屈に強いわけです。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ×(誤り) C<A=B は誤り。BはAやCより座屈荷重が大きいため A=B は成立しない
2 ×(誤り) A=B<C は誤り。CよりBの方が座屈荷重は大きく、BをCの下に置くことはできない
3 ×(誤り) B<A=C は誤り。BはAやCより有効座屈長さが短く、座屈荷重が大きくなる
4 ○(正しい) A=C<B は正しい。AとCの座屈荷重は等しく、BはAとCの2倍以上の座屈荷重をもつ

この問題のポイント

座屈とは、細長い柱が圧縮力を受けたとき、ある荷重を超えると急に横へたわんで不安定になる現象です。

ザックリ言えば、まっすぐ押しているのに柱が横へ「くの字」に曲がってしまうことです。強度の問題ではなく、変形の安定性に関わる問題なんです。

座屈荷重Peはオイラーが導いた式 Pe = π²EI / (kl)² で求めます。E はヤング係数、I は断面2次モーメント、l は柱の実際の長さ、k は端部条件によって変わる係数です。

材質が同じなら E は共通なので、断面形状(I)と端部条件(k)の組み合わせで座屈荷重が決まります。有効座屈長さ kl が短いほど座屈荷重は大きくなるわけです。ここは混乱しやすいところですね。

端部条件によってk(有効座屈長さ係数)が変わります。

実際の柱の長さを l とすると、有効座屈長さは kl となります。

端部条件 k(有効座屈長さ係数) 有効座屈長さ
両端ピン 1.0 1.0l
一端固定・他端ピン 0.7 0.7l
両端固定 0.5 0.5l
一端固定・他端自由(片持ち) 2.0 2.0l

有効座屈長さ kl が短いほど、オイラーの式の分母が小さくなり、座屈荷重Peは大きくなります。両端が固定されているほど座屈に強いということです。

同じ端部条件でも、断面形状が違えばIが変わり座屈荷重も変わります。

断面2次モーメントIは「中立軸から遠い部分に材料が集まっているほど大きくなる」という性質があります。例えば、同じ断面積でも中空断面(パイプ形状)は中実断面より I が大きくなります。

ザックリ言えば、「でっぱりがある断面ほど座屈に強い」ということです。

けんせつるのひとこと

試験でよく狙われるのは「一端固定・他端自由」のケースです。自由端があると有効座屈長さが実長の2倍になり、座屈荷重は両端ピンの4分の1まで落ちます。「自由端がある = 座屈に圧倒的に弱い」と覚えておくと選択肢を絞りやすくなるんです。

図中のA・B・Cを比較するときは、断面形状(Iが大きいほど座屈荷重が増える)と端部条件(固定度が高いほどkが小さくなり座屈荷重が増える)の2点を確認し、Pe = π²EI/(kl)² に代入して比較します。なんとなくイメージできましたか。各選択肢はA・B・Cの座屈荷重の大小関係です。

選択肢1

選択肢1は「C<A=B」とする記述です。BはAやCに比べて有効座屈長さが短い、または断面2次モーメントが大きい条件のため、座屈荷重が大きくなります。

BがAと等しい(A=B)という関係は成立しないため、選択肢1は誤りです。

選択肢2

選択肢2は「A=B<C」とする記述です。BのほうがCより座屈荷重は大きくなります。

BをCの下に置く(B<C)ことはできないため、選択肢2は誤りです。

選択肢3

選択肢3は「B<A=C」とする記述です。BはAやCより有効座屈長さが短く、座屈荷重が大きくなります。

BをA・Cより小さいとするのは大小関係が逆であり、選択肢3は誤りです。

選択肢4

これが正しい記述です。AとCは断面形状や端部条件の組み合わせが違いますが、有効座屈長さ kl と断面2次モーメント I の比 I/(kl)² が結果として等しくなります。

BはAやCに比べて有効座屈長さが短い、または断面2次モーメントが大きい条件になっています。そのため Pe が大きくなり、A・Cよりも座屈荷重が上回るわけです。AとCの座屈荷重は等しく、BはAとCの2倍以上の座屈荷重をもつため、A=C<Bという大小関係が正解です。

覚え方

座屈荷重の大小を比べるときは、有効座屈長さ kl を軸に考えると整理しやすくなります。

kl が短い = 座屈しにくい = 座屈荷重が大きい、という一本の流れです。

端部が固定されているほどkは小さくなり → klが短くなり → 座屈荷重Peが大きくなるという順番で頭に入れておくと、選択肢を見た瞬間に方向感が出るわけです。

一問一答

Q.

オイラーの座屈公式で座屈荷重を大きくするには、有効座屈長さをどうすればよいか。

有効座屈長さ kl を短くするほど座屈荷重は大きくなります。Pe = π²EI/(kl)² の分母が小さくなるためです。

Q.

両端ピン・両端固定・一端固定他端自由の端部条件のうち、有効座屈長さ係数kが最も小さいのはどれか。

両端固定(k = 0.5)が最も小さく、座屈荷重が最も大きくなります。一端固定・他端自由(k = 2.0)は最も大きく、座屈に最も弱くなります。

Q.

断面2次モーメントIが大きいほど座屈荷重はどうなるか。

Iが大きいほど座屈荷重は大きくなります。Pe = π²EI/(kl)² の分子にIがあるため、Iが増えると座屈荷重も比例して増えます。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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