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令和5年度 1級建築施工管理技士 No.63を解説、防火区画と劇場の客席

けんせつる

けんせつる

劇場の広い客席も、面積で細かく区画しないといけないんだっけ?

この記事の要点

令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.63は、建築基準法施行令の防火区画等に関する問題です。正解は選択肢2。劇場の客席は用途上やむを得ない部分として、面積区画の適用が除外されます。

令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.63は、建築基準法施行令の防火区画等に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、4つの記述のうち、誤っているものを選びます。

正解:選択肢2

面積区画は、大きな建物を一定面積ごとに区切って延焼を抑える規定なんです。ただし劇場・映画館の客席のように、用途上どうしても区切れない部分には面積区画の規定が適用除外になります。客席の真ん中に防火壁を立てるわけにはいかない、ということですね。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 界壁を貫通する給水管との隙間はモルタル等の不燃材料で埋める
2 ×(誤り) 劇場の客席は用途上やむを得ない部分として面積区画の適用が除外される
3 ○(正しい) 昇降路の部分とその他の部分は準耐火構造の床・壁または防火設備で区画する
4 ○(正しい) 防火区画を貫通するダクトには煙感知・温度感知で自動閉鎖する防火ダンパーを設ける

選択肢2は「劇場の客席も面積区画しなければならない」とした部分が誤りで、客席のように用途上区画が困難な部分は面積区画の適用が除外されます。

この問題のポイント

この問題では、防火区画のうち面積区画に適用除外があることを押さえているかが問われています。

面積区画とは、大規模な建築物を一定の面積ごとに耐火構造の床・壁や防火設備で区切る規定です。火が出ても一区画にとどめ、延焼を抑えるためなんです。

ただし、用途上どうしても区切れない大空間があります。

例えば劇場・映画館・体育館の客席や競技場のような部分です。こうした用途上やむを得ない部分は、面積区画の適用が除外されています。ここは見落としやすいところですね。

選択肢1

共同住宅の各戸の界壁を給水管が貫通する場合の話です。

界壁は隣の住戸との間を仕切る防火・遮音上重要な壁です。

そこを管が貫通すると隙間ができるため、管と界壁の隙間はモルタルその他の不燃材料で埋めなければなりません。延焼経路をつくらないためなんです。この記述は正しいということです。

選択肢2

「劇場の客席は、主要構造部を耐火構造とした場合であっても、スプリンクラー設備等を設けなければ一定面積以内ごとに区画しなければならない」という記述です。これが誤りを含む選択肢です。

面積区画には、用途上やむを得ない部分の適用除外があります。

劇場・映画館などの客席は、その性質上、途中に防火壁や防火設備を立てて区切ることができません。観客が一体で見渡す大空間が必要だからなんです。

そのため、こうした客席は面積区画の規定の適用が除外されます。問題文は「区画しなければならない」と言い切っている点が誤りということです。

選択肢3

主要構造部を準耐火構造とした建築物で、一定の階以上に居室を有するものの昇降機の話です。

昇降路は煙や火が上下階へ一気に広がる竪穴になりやすい部分です。

そのため昇降路の部分とその他の部分は、原則として準耐火構造の床・壁または防火設備で区画しなければなりません。竪穴区画の考え方です。この記述は正しいということです。

選択肢4

換気設備のダクトが準耐火構造の防火区画を貫通する場合の話です。

ダクトは区画を貫通する開口になるため、火災時にそこから煙や火が隣の区画へ流れ込むおそれがあります。

そこで、煙の発生や急激な温度上昇を感知して自動的に閉鎖する防火ダンパーを設けなければなりません。区画の連続性を保つためなんです。この記述は正しいということです。

覚え方

面積区画は「大空間は区切る、ただし用途上やむを得ない客席等は除外」とセットで覚えると間違えにくくなります。

客席に防火壁を立てたら劇場として成り立たない、と現場のイメージで結びつけると忘れにくいでしょう。

面積区画=延焼防止のため区切る。劇場の客席など用途上やむを得ない部分=適用除外、という順番でつなぐと本番で迷わなくなるでしょう。

一問一答

Q.

劇場の客席は面積区画しなければならないか。

必要ありません。劇場の客席のように用途上やむを得ず区画が困難な部分は、面積区画の規定の適用が除外されます。

Q.

換気ダクトが防火区画を貫通する場合に設けるものは何か。

火災時に煙の発生や温度上昇を感知して自動的に閉鎖する防火ダンパーを設けます。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和5年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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