ゼロから学ぶ建築施工管理

  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 1級建築施工管理技士
  4. 令和5年
  5. > No.9 ヒンジラーメンの水平反力

令和5年度 1級建築施工管理技士 No.9を解説、ヒンジラーメンの水平反力

けんせつる

けんせつる

垂直に下向きの等分布荷重なのに、なんで横向きの反力が出るの?

この記事の要点

令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、ヒンジラーメン架構の支点A・Bの水平反力を求める計算問題です。正解は選択肢4。つり合い式から反力を求めます。

令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、ヒンジラーメン架構のDE間に等分布荷重wが作用したとき、支点Aの水平反力HAと支点Bの水平反力HBの値を求める計算問題です。反力は右向きを「+」、左向きを「−」とします。

問題文と図は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、4つの値のうち、正しいものを1つ選びます。

正解:選択肢4(HB=−4kN)

架構全体と各部材のつり合い(ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0)を立てて反力を解くと、支点Bの水平反力HBは−4kN(左向き4kN)になります。これと一致するのが選択肢4なわけです。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1(HA=+9kN) × 向きと大きさが合わない(HAは左向きになる)
2(HA=−6kN) × 向きは左向きで合うが大きさが合わない
3(HB=0kN) × HBは0ではなく左向きの値を持つ
4(HB=−4kN) ○(正しい) つり合い式から求まる支点Bの水平反力に一致する

水平荷重が無いと水平反力もゼロと思い込むと選択肢3を選んでしまいます。ヒンジ(ピン)を含む架構では、鉛直荷重でも水平反力が生じる点が要注意です。

この問題のポイント

この問題では、力のつり合いと、ヒンジ(ピン)を含む架構の解き方が問われています。

見るべきポイントは「つり合い式を立てて未知数を解く」ということです。

剛体のつり合いは、水平方向の和ΣH=0、鉛直方向の和ΣV=0、ある点まわりのモーメントの和ΣM=0の3つです。

そしてヒンジ(ピン)の位置ではモーメントが伝わらず0になります。この条件を1本追加することで、水平反力まで解けるわけです。

選択肢1

選択肢1はHA=+9kNです。これは支点Aの水平反力を右向き9kNとした値です。

支点Aの水平反力は、まず架構全体のつり合いと、ヒンジ位置のモーメント条件から決まります。

等分布荷重wによる回転をピンで受ける向きを考えると、HAは左向き(マイナス)になります。向きが逆で大きさも合わないため、選択肢1は正しい値ではありません。

選択肢2

選択肢2はHA=−6kNです。向きは左向きで、こちらは方向としては合っています。

ただし大きさが合いません。ヒンジ位置でモーメントが0になる条件を使ってHAを解くと、−6kNとは異なる値になります。

向きを正しく取れていても、モーメントの腕の長さの取り方を誤ると大きさがずれます。したがって選択肢2は正しい値ではありません。

選択肢3

選択肢3はHB=0kNです。水平荷重が無いから水平反力も0、と考えると選びたくなる値です。

しかしヒンジ(ピン)を含むラーメンでは、鉛直の等分布荷重だけでも各支点に水平反力が生じます。

ピンの位置でモーメントを伝えないために、左右の支点が水平方向に押し合う形になるためです。つまりHBは0ではなく値を持ちます。したがって選択肢3は正しい値ではありません。ここは思い込みやすいところですね。

選択肢4

選択肢4はHB=−4kNで、これが正しい値です。

まず架構全体のΣV=0から、支点A・Bの鉛直反力を求めます。次に全体のΣM=0で鉛直反力の配分を確定させます。

そのうえで、ヒンジ位置を境にした片側の部材について、ヒンジ点まわりのモーメントが0になる条件を立てます。この式に等分布荷重wの合力と作用位置を代入すると、支点Bの水平反力が求まります。

計算の結果、HB=−4kN、つまり左向きに4kNの水平反力となります。全体のΣH=0から、HAはこれと逆向きにつり合う値になるわけです。

覚え方

ヒンジラーメンの反力は、「つり合い3式+ヒンジで0」のセットで解くと覚えておきます。

ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0の3式に、ヒンジ位置のモーメント0という条件を足せば、水平反力まで解ける、という流れです。

鉛直荷重でもヒンジがあると水平反力は生じる → つり合い式+ヒンジ条件で解くと押さえれば、「水平反力は0」の引っかけに引っかからなくなるでしょう。

一問一答

Q.

ヒンジ(ピン)の位置では、伝わる力のうち何が0になるか。

曲げモーメントが0になります。この条件をつり合い式に追加すると水平反力まで解けます。

Q.

水平荷重が作用していなくても、ヒンジラーメンの支点に水平反力が生じるのはなぜか。

ヒンジ位置でモーメントを伝えないために、左右の支点が水平方向に押し合う形になるためです。鉛直荷重だけでも水平反力が生じます。

令和5年 1級建築施工管理技士 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和5年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

▼令和5年 1級建築施工管理技士▼

▼他の年度▼

▼他の試験▼

▼カテゴリ一覧▼

Topへ >>