けんせつる
垂直に下向きの等分布荷重なのに、なんで横向きの反力が出るの?
この記事の要点
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、ヒンジラーメン架構の支点A・Bの水平反力を求める計算問題です。正解は選択肢4。つり合い式から反力を求めます。
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、ヒンジラーメン架構のDE間に等分布荷重wが作用したとき、支点Aの水平反力HAと支点Bの水平反力HBの値を求める計算問題です。反力は右向きを「+」、左向きを「−」とします。
問題文と図は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの値のうち、正しいものを1つ選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1(HA=+9kN) | × | 向きと大きさが合わない(HAは左向きになる) |
| 2(HA=−6kN) | × | 向きは左向きで合うが大きさが合わない |
| 3(HB=0kN) | × | HBは0ではなく左向きの値を持つ |
| 4(HB=−4kN) | ○(正しい) | つり合い式から求まる支点Bの水平反力に一致する |
水平荷重が無いと水平反力もゼロと思い込むと選択肢3を選んでしまいます。ヒンジ(ピン)を含む架構では、鉛直荷重でも水平反力が生じる点が要注意です。
この問題では、力のつり合いと、ヒンジ(ピン)を含む架構の解き方が問われています。
見るべきポイントは「つり合い式を立てて未知数を解く」ということです。
剛体のつり合いは、水平方向の和ΣH=0、鉛直方向の和ΣV=0、ある点まわりのモーメントの和ΣM=0の3つです。
そしてヒンジ(ピン)の位置ではモーメントが伝わらず0になります。この条件を1本追加することで、水平反力まで解けるわけです。
選択肢1はHA=+9kNです。これは支点Aの水平反力を右向き9kNとした値です。
支点Aの水平反力は、まず架構全体のつり合いと、ヒンジ位置のモーメント条件から決まります。
等分布荷重wによる回転をピンで受ける向きを考えると、HAは左向き(マイナス)になります。向きが逆で大きさも合わないため、選択肢1は正しい値ではありません。
選択肢2はHA=−6kNです。向きは左向きで、こちらは方向としては合っています。
ただし大きさが合いません。ヒンジ位置でモーメントが0になる条件を使ってHAを解くと、−6kNとは異なる値になります。
向きを正しく取れていても、モーメントの腕の長さの取り方を誤ると大きさがずれます。したがって選択肢2は正しい値ではありません。
選択肢3はHB=0kNです。水平荷重が無いから水平反力も0、と考えると選びたくなる値です。
しかしヒンジ(ピン)を含むラーメンでは、鉛直の等分布荷重だけでも各支点に水平反力が生じます。
ピンの位置でモーメントを伝えないために、左右の支点が水平方向に押し合う形になるためです。つまりHBは0ではなく値を持ちます。したがって選択肢3は正しい値ではありません。ここは思い込みやすいところですね。
選択肢4はHB=−4kNで、これが正しい値です。
まず架構全体のΣV=0から、支点A・Bの鉛直反力を求めます。次に全体のΣM=0で鉛直反力の配分を確定させます。
そのうえで、ヒンジ位置を境にした片側の部材について、ヒンジ点まわりのモーメントが0になる条件を立てます。この式に等分布荷重wの合力と作用位置を代入すると、支点Bの水平反力が求まります。
計算の結果、HB=−4kN、つまり左向きに4kNの水平反力となります。全体のΣH=0から、HAはこれと逆向きにつり合う値になるわけです。
ヒンジラーメンの反力は、「つり合い3式+ヒンジで0」のセットで解くと覚えておきます。
ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0の3式に、ヒンジ位置のモーメント0という条件を足せば、水平反力まで解ける、という流れです。
鉛直荷重でもヒンジがあると水平反力は生じる → つり合い式+ヒンジ条件で解くと押さえれば、「水平反力は0」の引っかけに引っかからなくなるでしょう。
ヒンジ(ピン)の位置では、伝わる力のうち何が0になるか。
曲げモーメントが0になります。この条件をつり合い式に追加すると水平反力まで解けます。
水平荷重が作用していなくても、ヒンジラーメンの支点に水平反力が生じるのはなぜか。
ヒンジ位置でモーメントを伝えないために、左右の支点が水平方向に押し合う形になるためです。鉛直荷重だけでも水平反力が生じます。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢4(HB=−4kN)
架構全体と各部材のつり合い(ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0)を立てて反力を解くと、支点Bの水平反力HBは−4kN(左向き4kN)になります。これと一致するのが選択肢4なわけです。