けんせつる
吹付けウレタンの厚さが多い分には問題ない。でも薄いのはダメ。だから許容差の管理はどうなる?
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.59は、建築施工の品質を確保するための管理値に関する応用能力問題(5択)です。正解は選択肢5。硬質吹付けウレタンフォームの吹付け厚さ許容差はJASS 19の規定でマイナス方向のみ管理(-5mm以内、0mm超)が標準であり、「±5mm」という両方向の許容差表記は誤りです。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.59は、品質を確保するための管理値に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、5つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | スタッド溶接後の傾きの許容差は5°以内。正しい規定値 |
| 2 | ○(正しい) | 柱・梁・壁の断面寸法許容差は0mmから+20mm。正しい規定値 |
| 3 | ○(正しい) | 薄いビニル床シート下地の平坦さは3mにつき7mm以下。正しい規定値 |
| 4 | ○(正しい) | PCカーテンウォール目地幅の寸法許容差は±5mm。正しい規定値 |
| 5 | ×(誤り) | 硬質吹付けウレタンフォームの吹付け厚さ許容差はマイナス方向のみ管理が正しく、「±5mm」は不適当 |
選択肢5の「許容差は±5mm」という記述が誤りです。吹付け厚さはマイナス方向(不足)のみを管理し、プラス方向(過剰)は制限されないのが正しい規定です。
断熱材の性能は厚さで決まります。設計で指定された厚さに対して薄すぎると、断熱性能が確保できません。
一方、厚さが設計値を超えていても断熱性能は向上するだけです。問題は生じないわけです。
この特性から、JASS 19では硬質吹付けウレタンフォームの吹付け厚さについて、マイナス方向のみを許容差として管理する規定になっています。
ザックリ言えば、「少なすぎはダメだが、多すぎはOK。だから管理するのはマイナス側だけ」ということです。
「±5mm」という表記は、プラス方向にも上限を設けているかのように読めます。これが誤りの核心です。
現場でのポイント
吹付けウレタンの厚さ確認は、現場ではピンを刺して計測します。薄い箇所が見つかったら追い吹きで対応します。「プラス側は問題ない」という意識があれば、管理の方向性が自然と「マイナスさせないこと」に向くはずです。「±5mmだから少し薄くてもOK」という考え方が一番危ないわけです。
スタッド溶接後のスタッドの傾きについての問いです。
スタッドは鉄骨梁とコンクリートスラブをずれなく一体化させる部材で、溶接後に正確な角度で立っていることが求められます。
溶接後のスタッドの傾きの許容差は5°以内です。これを超えた傾きがある場合は、打撃修正または溶接し直しで対応します。現場では打撃後に再測定して確認することが重要ですね。
コンクリートを打ち上げた後の柱、梁、壁の断面寸法についての問いです。
コンクリート打設後の断面寸法は、型枠の変形や施工誤差によって設計値と差が出ることがあります。
許容差は0mmから+20mmです。マイナス(断面が小さくなる方向)は許容されません。構造強度上、断面が小さくなることは絶対に避ける必要があるためです。一方、大きくなる分には強度上は問題ないため、プラス側に余裕が設けられています。
ビニル床シートの下地コンクリート面の平坦さについての問いです。
床仕上げ材の種類によって、下地に求められる平坦さの基準が異なります。これは混乱しやすいところですね。
薄いビニル床シートの場合、下地のわずかな凹凸がシート表面に浮き上がって見えてしまいます。そのため、平坦さの管理基準は厳しく、3mにつき7mm以下と定められています。コンクリートの一般的な仕上げ精度より高いレベルが要求されるわけです。
プレキャストコンクリートカーテンウォール(PCカーテンウォール)の取付け精度についての問いです。
PCカーテンウォール部材は工場製作後に現場で取り付けるため、取付け位置精度の管理が重要です。
目地の幅の寸法許容差は±5mmです。これは設計上の目地幅に対して5mm大きくなっても5mm小さくなっても許容するということです。目地幅が大きすぎても小さすぎても外観と水密性に影響するため、両方向に管理基準が設けられています。
選択肢5の吹付けウレタン(マイナス方向のみ管理)とは考え方が異なります。この違いを意識して整理しておきましょう。
これが誤りを含む選択肢です。硬質吹付けウレタンフォーム断熱材の吹付け厚さ許容差として「±5mm」が示されていますが、これは不適当です。
断熱材は設計厚さを確保することが性能保証の前提です。設計厚さより薄いと断熱性能が不足しますが、厚い分には断熱性能が上回るだけで問題はありません。
JASS 19の規定では、吹付け厚さの許容差はマイナス方向のみ管理する形が標準です。例えば設計厚さが50mmの場合、45mm未満(-5mm超)は不適とする一方、55mmや60mmは問題なしという扱いになります。
「±5mm」という書き方では、プラス方向にも上限があるように読めます。これが誤りとなる理由です。
許容差の「方向」を整理するとこうなります。
コンクリート断面寸法は「0mm〜+20mm」。マイナスを認めないのは強度上の問題があるから。プラス方向は大きくなるほど強い。
吹付けウレタンの厚さは「マイナス方向のみ管理」。薄くなると断熱性能が不足するから。厚い分には問題ない。
断熱材の厚さは「少なすぎはNG、多すぎはOK」→ だからマイナス側のみ管理という理屈で覚えておくと、本番で迷わなくなります。
硬質吹付けウレタンフォームの吹付け厚さ許容差はどのように管理するか。
マイナス方向のみ管理します。設計値より薄いと断熱性能が不足しますが、厚い分には問題ないため、プラス方向は制限されません。「±5mm」という両方向の表記は誤りです。
打ち上がったコンクリートの柱・梁・壁の断面寸法許容差はどの方向か。
0mmから+20mmです。断面が設計値より小さくなる(マイナス)のは構造強度の観点から許容されません。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢5
硬質吹付けウレタンフォームの吹付け厚さ許容差は、JASS 19の規定でマイナス方向のみ管理するのが基本です。厚さが設計値より不足すると断熱性能が損なわれますが、多い分には問題ありません。「±5mm」という両方向の許容差表記は、プラス方向も制限しているかのように読めるため不適当です。