けんせつる
モルタルが硬化しているのに確認できても、下塗り後の放置期間を短くしてはいけないの?
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.55は、コンクリート壁下地のセメントモルタル塗りに関する応用能力問題(5択)です。正解は選択肢5。JASS 15では下塗り後の放置期間を2週間(14日間)以上と定めており、硬化が確認できても短縮することは不適当です。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.55は、コンクリート壁下地のセメントモルタル塗りに関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、5つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 下塗り用モルタルの調合はセメント1:砂3(容積比)が標準 |
| 2 | ○(正しい) | 塗厚の合計は25mm以内が標準。これを超えると剥落リスクが増す |
| 3 | ○(正しい) | 下塗りは吸水調整材が乾燥してから行う。濡れたまま塗ると付着強度が低下する |
| 4 | ○(正しい) | 下塗り後に金ぐしでくし目を全面に付けて、中塗りとの付着をよくする |
| 5 | ×(誤り) | 下塗り後の放置期間は14日間以上が規定。硬化確認を理由とした短縮は不可 |
選択肢5の「下塗り後の放置期間を14日間より短縮した」という記述が誤りで、JASS 15の規定では最低2週間の放置が必要です。
この問題では、セメントモルタル塗りの各工程における数値と手順の根拠を理解しているかが問われています。
ここで混乱しやすいのが、「硬化が確認できた」という条件付きの誤答です。見た目で固まっているように見えても、乾燥収縮はその後も続きます。
モルタルは水とセメントが反応して硬化しますが、硬化とは別に乾燥による体積収縮が進みます。この収縮が完全に落ち着くまでに2週間が必要なわけです。
放置期間を短縮してしまうと、上塗り後も下塗りの収縮が続き、表面にひび割れが出やすくなります。これが14日間という規定の根拠です。
セメントモルタルの調合は容積比でセメント1:砂3が標準です。
砂の比率が小さすぎると(セメント過多)、乾燥収縮が大きくなってひび割れが増えます。逆に砂が多すぎると強度が低下します。1:3という比率はこのバランスを考えた標準値なんです。
例えば、砂を少なくしてセメントを増やせばクリーミーで塗りやすいと思われがちですが、硬化後のひび割れリスクが高まるわけです。
下塗り・中塗り・上塗りを合計した塗厚は25mm以内が標準です。
これを超えると、モルタルの自重によって下地から剥離・剥落するリスクが高まります。
塗厚を確保しなければならない場合は、金属ラスや金属メッシュを補強材として使用するなど、剥落防止の措置が必要になります。
吸水調整材はコンクリート下地の吸水を抑制し、モルタルの水分が急激に奪われるのを防ぐために塗布します。
しかし、吸水調整材が乾燥しないうちに下塗りをすると、界面が濡れたままになって付着強度が低下します。
ザックリ言えば、接着剤が乾く前に貼り付けると却ってくっつかなくなる、という感覚と同じです。吸水調整材が完全に乾いてから下塗りを行うことが大切です。
下塗り後に金ぐしでくし目を付ける作業は、中塗りとの機械的な付着(アンカー効果)を高めるために行います。
くし目を全面に付けることで、中塗りのモルタルが表面の細かな溝に入り込み、物理的なかみ合いが生まれます。これによって各層間の付着が強くなり、剥離を防ぐことができます。
くし目は塗り付けた直後、モルタルがまだ軟らかいうちに付けることが必要ですね。
これが誤りを含む選択肢です。「モルタルの硬化が確認できた」という条件は魅力的に見えますが、JASS 15の放置期間の規定を短縮する根拠にはなりません。
JASS 15では、下塗り後に2週間(14日間)以上の放置期間を設けることを規定しています。
硬化とは別に、乾燥収縮によるひび割れは数週間かけてゆっくりと進行します。この期間を経過してからでないと、ひび割れが落ち着いているかどうかわかりません。
「硬化している=収縮が終わった」とはいえないんです。硬化確認を理由に放置期間を短縮することは規定違反になります。
下塗り後の放置期間「2週間」は、「モルタルが固まるまでの時間ではなく、縮むのが落ち着くまでの時間」と理解しておくと忘れません。
硬化 ≠ 収縮完了 → だから2週間は待つ → 短縮は認められないという流れで押さえておくと、試験でも迷わずに判断できます。
コンクリート壁下地のセメントモルタル塗りにおいて、下塗り後の放置期間は最低何日間必要か。
2週間(14日間)以上です。JASS 15の規定によるもので、硬化が確認できても短縮することはできません。乾燥収縮が落ち着くまでの期間が必要なためです。
コンクリート壁下地のセメントモルタル塗りで、下塗りから上塗りまでの合計塗厚はどの程度が標準か。
25mm以内が標準です。これを超えると自重による剥離・剥落のリスクが高まります。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢5
JASS 15(左官工事)では、下塗り後の放置期間は2週間(14日間)以上と規定されています。「硬化が確認できた」というのは表面の状態に過ぎません。内部ではまだ乾燥収縮が進んでおり、ひび割れが発展する可能性があります。この期間を短縮すると、上塗り後に下地からのひび割れが出やすくなり不適当です。