けんせつる
増設壁の上、既存梁の下って、どうやってコンクリートを隙間なく詰めるんだろう?
この記事の要点
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.30は、RC造の耐震改修(耐震壁の増設)に関する問題です。正解は選択肢3。コンクリート圧入工法は既存梁下まで隙間なく充填でき、増設壁上部の打継ぎに採用されます。
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.30は、RC造の耐震改修における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の増設工事に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 壁頂部に注入するグラウト材の練上り温度は10〜35℃で管理 |
| 2 | ○(正しい) | 接着系アンカーを梁下端に上向き施工する場合、くさび等で脱落防止 |
| 3 | ×(誤り) | 圧入工法は既存梁下まで充填でき隙間を生じにくいため採用される |
| 4 | ○(正しい) | 打継ぎ面の目荒し面積の合計は打継ぎ面の15〜30%程度 |
選択肢3は「圧入工法は隙間が生じやすいため採用しない」とした部分が誤りで、正しくは圧入工法は既存梁下まで充填でき有効なため採用するです。
この問題のポイントは、増設壁の上部の打継ぎをどう処理するかということです。
耐震壁を後から増設するとき、最後に残るのが既存梁の真下です。ここはコンクリートが下から上に向かって行き止まりになり、空気が抜けにくく隙間ができやすいんです。
この弱点を埋める方法として、圧送力でコンクリートを押し込む圧入工法や、グラウト材の注入が使われます。
「梁下の隙間をどう消すか」という視点で各選択肢を読むと、整理しやすいでしょう。
増設壁上部と既存梁下の間に注入するグラウト材の温度管理についての記述です。
グラウト材は温度によって流動性や硬化が変わるため、練り混ぜる水の温度を管理します。
練上り時の温度を10〜35℃の範囲とするのは標準的な管理です。よってこの記述は正しいということです。
あと施工アンカーのうち、接着系アンカーを既存梁の下端に上向きで施工する場合の記述です。
上向きで施工すると、硬化する前にアンカー筋が自重で抜け落ちるおそれがあります。
そこでくさび等を打って脱落を防ぐ処置を行います。これは妥当な施工法です。よってこの記述は正しいということです。
これが誤りを含む選択肢です。コンクリート圧入工法についての記述ですね。
コンクリート圧入工法は、コンクリートポンプ等の圧送力を利用し、増設壁の側面下部などから上方へコンクリートを押し込む工法です。
圧力をかけて充填するため、空気が抜けにくい既存梁下までしっかり回り込み、隙間を生じにくく増設壁上部の打継ぎに有効です。
問題文は「隙間が生じやすいため採用しない」としていますが、事実と逆になっています。正しくは隙間を生じにくいため採用される工法ということです。
例えば天井近くまで詰める耐震壁の増設で、梁下の充填不良を防ぐために選ばれるわけです。
増設壁との打継ぎ面となる既存柱・既存梁に施す目荒しについての記述です。
目荒しは表面に凹凸をつけ、新旧コンクリートの一体性を高める処置です。
電動ピック等で打継ぎ面の15〜30%程度を目荒しするのは標準的です。よってこの記述は正しいということです。
増設壁の上部は、「梁下の隙間をどう消すか」が主役だと覚えておきましょう。
圧入工法は圧力で押し込むから梁下まで充填でき、隙間を消すための工法。だから「採用しない」とあれば逆だと気づけるわけです。
梁下は隙間ができやすい=圧入工法で押し込んで充填=隙間を消すから採用するという順番でつなぐと、本番で迷わなくなるでしょう。
コンクリート圧入工法は、増設壁上部の打継ぎでなぜ有効か。
圧送力でコンクリートを押し込むため、隙間ができやすい既存梁下まで充填でき、隙間を生じにくいからです。そのため採用されます。
既存柱・梁の打継ぎ面に施す目荒しの面積は、どの程度を目安にするか。
打継ぎ面の15〜30%程度です。電動ピック等を用いて凹凸をつけ、新旧コンクリートの一体性を高めます。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢3
増設壁の上端と既存梁の下端の間は、コンクリートが回りにくく隙間ができやすい弱点なんです。だからこそ圧送力で押し込むコンクリート圧入工法を使えば隙間なく充填でき、有効な工法として採用されます。「隙間が生じやすいから採用しない」という選択肢3は逆になっているわけです。