けんせつる
ダンパーって、地震のときの横揺れと上下動、どっちを抑える部材なの?
この記事の要点
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.4は、免震構造に関する問題です。正解は選択肢4。ダンパーの抑える方向が誤って書かれています。
令和5年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.4は、免震構造に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | アイソレータは上部の重量を支えつつ水平変形に追従し復元力を持つ |
| 2 | ○(正しい) | 重心と剛心を合わせるとねじれ応答を低減できる |
| 3 | ○(正しい) | 地下に免震層を設ける場合は周囲地盤との間にクリアランスが必要 |
| 4 | ×(誤り) | ダンパーは水平方向の振動エネルギーを吸収(垂直方向は誤り) |
選択肢4はダンパーが垂直方向の変位を抑制するとした部分が誤りで、正しくは水平方向の振動エネルギーを吸収し水平変位を抑えます。
この問題では、免震を構成する2つの部材の役割分担を理解しているかが問われています。
見るべきポイントは「支える部材か、吸収する部材か」ということです。
免震構造は、建物と地盤の間に柔らかい層(免震層)を設け、地震の揺れを建物に伝えにくくする仕組みです。
その免震層を担うのがアイソレータ(支える・戻す)とダンパー(揺れを吸収する)で、どちらも地震の水平方向の動きを相手にしているわけです。
アイソレータは、建物を支えながら水平にゆっくり動かす部材です。
積層ゴムなどのアイソレータは、上部構造の重量を鉛直に支えつつ、地震時には水平にしなって変形に追従します。
さらに、変形した後に元の位置へ戻ろうとする復元力も持っています。支える・追従する・戻すという3つを兼ねるわけで、この記述は正しいということです。
免震でも、建物がねじれて回ろうとするねじれ応答には注意が必要です。
建物の重さの中心(重心)と、免震層の硬さの中心(剛心)がずれていると、地震時に建物が回転しやすくなります。
免震部材の配置を調整して重心と剛心を合わせれば、このねじれ応答を低減できます。問題文どおりで、この記述は正しいということです。
地下部分に免震層を設ける場合は、建物が動くための隙間が要ります。
免震建物は地震時に水平へ大きく動くため、上部構造と周囲の地盤がぶつからないようにしなければなりません。
そのために、上部構造と周囲地盤との間にクリアランス(隙間)を確保します。動ける余地がないと免震が成立しないわけで、この記述は正しいということです。
これが誤りを含む選択肢です。ダンパーが抑えるのは、どの方向の動きでしょうか。
ダンパーは、地震時に生じる水平方向の振動エネルギーを吸収して熱などに変え、揺れを早く収める部材です。
結果として、免震層の過大な水平変位を抑える役割を持ちます。
問題文の「ダンパーは上部構造の垂直方向の変位を抑制する」という記述は誤りです。正しくはダンパーは水平方向の振動エネルギーを吸収して水平変位を抑える役割なんです。
免震の部材は、「支える係と、揺れを止める係」の2人組で覚えると整理できます。
アイソレータは建物を支えて元に戻す係、ダンパーは横揺れを吸収して止める係です。どちらも相手にしているのは水平方向の動きです。
アイソレータ=支えて戻す / ダンパー=水平の揺れを吸収して止めると並べておけば、「垂直方向」という引っかけにすぐ気づけるでしょう。
免震構造のダンパーは、どの方向の振動エネルギーを吸収する部材か。
水平方向です。水平の振動エネルギーを吸収し、免震層の過大な水平変位を抑えます。
免震建物でねじれ応答を低減するには、何と何を合わせればよいか。
上部構造の重心と免震層の剛心を合わせます。両者のずれが小さいほどねじれが起きにくくなります。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢4
ダンパーは地震時の水平方向の振動エネルギーを吸収し、水平変位を抑える部材です。選択肢4の「垂直方向の変位を抑制する」という記述が誤りなわけです。